Death88
「シエル──!! 上から!」
『見えてる──!』
「ブラッディアロー──!!」
ナビの声と同時にハジマリの武器を振り抜くと同時に見えていた──いや、正確にはこの目で捉えていたエンジェルを一刀両断する。
その後方に控えているエンジェルへはレイが牽制としても攻撃を加える。
「ダメッ──!」
「ううん──! これなら! イーグルアイ!」
レイの諦めの声に応えるようにナビが弓状にしたハジマリの武器で魔法の矢で必中ダメージを与えると、レイの攻撃を掻い潜ったエンジェルを見事に粒子に変えていた。
「ありがとう──ナビ」
「どういたしまして!」
それにしても──ちょっと、分かっていたけれども一気に難易度上がったね。
と、ナビが呟く。
確かにそうだった。
上級ダンジョンをクリアして辿り着いた新階層──エデンのモチーフは天国だ。
丸っきり同じというのは今までの天空の城エデンでも無かったが、それでも似通った点や共通点はあったりする。
それが今回はエンジェルだ。
何度か天国をモチーフにしたダンジョンは経験していた。
今までは基本的には地上戦がベターだったが、ここからは──。
「あたしもちょっと弓のスキル頼りには気を付けないとかな」
「えっ──でも、充分じゃ?」
「うーん、今は良くても──ね」
ナビは何度か一緒に最下層のエンシェントドラゴン──古代龍を経験している。
その過程を知っているのだ。
レイは想像がつかないのか疑問符が浮かんでいるようだが、ナビはそんなレイを見ては少しだけ困ったような微笑ましいような表情になっていた。
とりあえず、だ。
ここからはエンジェルは天使の羽を持っている──要は空中戦も過程しないといけない。
そして、階層は空間毎に仕切られているのか──今までの初級、上級のダンジョンは洞窟をイメージしていたのとはガラッと変わり、ここは浮島なのだ。
浮島のポイントに階段が輝いており、ある程度行くと下層へとワープする仕組みになっていた。
浮島ということは──相手は地上圏外より攻撃を仕掛けてくる可能性もあるということだ。
他の攻略組パーティーやギルドもこれには困っていた。
今回の21階層へと至る為の開放条件が無かったと思ったらこれだ。
1年は攻略して降りてくる人以外は来ないだろうが、人によっては今がチャンスと捉えて率先してアタックしてはチャレンジしていた。
『まぁ──それでも僕たちは恵まれてるけれども、ね』
「ん? シエル? 何か言った──?」
ん? 何でも無いよ? とレイに断りをいれて考える。
つい、独り言を漏らしてしまっていたみたいだった。
けれども、ナビも自分も攻撃のレパートリーは豊富だ。
レイに限っては血操術自体が万能に近い。
なので、今も3人パーティーでこうやって攻略しているのだが。
『とりあえず、今日はこのくらいで引き上げよう』
「「はーい」」
ナビとレイの返事を聞きながら、時刻をそっとステータス画面を見つつ確認する。
今から戻ればちょうど夕方だろう。
スキルポイントの割り振り方も大体はこの目を通して目処が立っている。
今は少しずつでも成長していこう。
そして、自分たちの実力がもう少し付いたなら──。
そう、このエデンエリアの例の祝福っぽいのは実は捉えている。
数値的にも後少しで安全マージンは取れそうに思えているのだ。
この考えももう少し自分たちが成長したら行こうと提案してみようと心の中で思いつつ、自分たちは20階層の準備エリアにて借りている宿へと戻るためにダンジョンを引き返すのだった。




