Death211
『僕を待っていた……?』
「はい、あなたを待っていました。あなたが今回の世界救済のMVPですから。世界を戻す前にあなたへと称賛を……あなたの頑張りで世界の神々もほら……称賛を」
パチパチ──パチパチ──。
周囲の神々からの拍手が送られてくる。
けれども、伝わってくるのは下卑た感情の波だ。
そして、視えるのは汚れた魂の色。
そう、目の前の神からもそれが伝わってくる。
「ではMVPのあなたには願いを……いえ、コメントを」
そして、こちらの事はお構いなくに進行を続けていくゲームマスターが居た。
良いだろう──。
なら、そちらがお構いなくなら、こっちも構うものの必用が無い。
『僕が欲しいのはあなたのゲーム仕様を改編することの承認です』
ピキッ──。
っと、空間がなったような気配が感じた。
いや、鳴ったのかも知れない。
周囲の神々のどよめきと疑うような目。
ゲームマスターからの動揺と、そして──やはり腹に据えかねていたのだろう。
烈火の如く燃えるような怒りを感じる目──。
「あなたが何故、それを知っているかは置いておきましょう。私から承認を得る? あなたは……舐めているのですか? あなたのような矮小な人間風情が神に勝てると?」
『さぁ、それはやってみないと分からないんじゃないかな?』
「は、ははは──!!」
周りの神々からの目も同じだ。
新たな火種の好奇心と、舐められた怒りと、そして──まだゲームが続くと言う下卑た汚い感情の入り交じった目と笑い声が空間に鳴り響く。
「あぁ──! あぁ!! 良いでしょう、良いでしょう! 私を万が一でも倒せたら……承認をしてあげましょう!」
『いや、倒す……殺してしまったら、元のデータが消えてしまうから困る。お前を屈服させることが出来たらでして貰いたい』
ブチッ──。
と、聞こえた。
今度はしっかりと聞こえた。
そして、音の発生源はイヤにも分かった。
目の前で顔を烈火の如く燃えさせているゲームマスターの神が居たからだ。
そして、周囲の神々の感じも変わった。
自身の不滅性を愚弄する行為で、信仰を否定する行為──彼らのエネルギー源足る、根幹すらを否定したのだ。
「殺せ──!!」
「始末しろ──!!」
「下等な生き物が!!」
「我らを愚弄するか!」
ほら、周りからの言葉がこんなにも……。
あ、あぁ──。
いけない……攻略組メンバーのことを忘れてしまっていた。
思いの外、自分も憤っていたらしい。
すぐにナビやレイ達が攻略組メンバーを立たせては空間の端へと移動させてくれていた。
「はぁ──ははは! ははは!! 屈服! 屈服!! なや、やってみるがいい──!!」
目の前の神も壊れたようにひと笑いした後にこちらを殺すような目で見てくる。
見てくるが──。
周囲の神々も分かっていない事がある。
目に見えていない事がある。
いや、全知全能の彼らにも見えないのだろう。
この空間──いや、彼らと会ったことで彼らを含む世界を全て既に僕が掌握してしまっている事に。
そして、そんな彼らが口を揃えて言う。
僕を殺すと──。
そして、僕からは見える──彼らの色濃い死の気配と僕への死の気配は更々無い事が。
そして、そんなことも知らずに目の前のゲームマスターは僕へと飛び掛かって来るのだった。




