Death2
『あぁっ──! くそっ!』
悔しい──悔しい──。
全世界の有望なプレイヤーが勢揃いして挑んで最終階層。
地下50階、古代龍。
これでまた──世界がリセットされる。
そうだ。
これは何度も繰り返されて来た事実だ。
掲示板では既に先ほどの闘いに関して投稿やコメントが羅列している。
次のリベンジに燃える者、またや諦めてしまった者。
──また地上からの攻略か。
この天空の城エデンは全世界で遊ばれているゲームだ。
販売元は不明。
気付いた時にはVR技術の進んだ世界にてゲームにて全世界にインストールされていたのだった。
一時期は怪しいウィルスなのでは無いかと言われたが、消すことも出来ない。
けれども内容はピカイチと来たものだ。
皆が皆こぞって遊ぶようになり、今やリアルマネーすらも動かして、このゲームのみで生活を獲得している人も居るくらいだ。
「トオル? ──大丈夫?」
『あ、あぁ──』
隣を見たら、繭状の全フルダイブ型のVR機から自分を見てくる幼なじみが居た。
『アカリの方こそ大丈夫か?』
「うーん、あたしはダメダメ。装備も貨幣も無くなっちゃった。ま! リセットされるから全て無になっちゃったけれども──」
悔しさと残念さが混濁するような表情でアカリの表情は苦い顔をしていた。
そうだ──、自分の仲間の防具や貨幣も意味を無くしてしまった。
まだ猶予期間はあったはずだ。
けれども、あの光景──全てが100の数字に染まった世界を見た時に猶予が無くなったのだと強制的に理解してしまった。
ははっ──。
悔しい。
ただ、それだけが心だけに残っていた。
「ね! またリセットされて1年は猶予があるんだし──とりあえず明日は学校もあるから帰ろ?」
『そうだね──』
アカリから促されて、僕たちはネットカフェから出る。
全フルダイブ型は購入してる人も居るが、基本的には高額だ。
こういう所で使う人が一般的だ。
一応コンパクト型で頭に装着したりするのはあるのだけれども──世界への接続率というのか、やっぱり繊細な動きを気になる場合や求める場合は全フルダイブ型というのが主流だった。
学生の身の僕たちだったけれども、今夜は初の全世界でエンシェントドラゴン──古代龍に挑む一大イベントだったのだ。
奮発して挑んでいた。
負けてしまったが。
はぁ──。
考えても仕方ない。
浮かない顔だったのだろう。
アカリに元気付けられながら、僕たちは自宅へと帰るのだった。