Death19
「そろそろダンジョン攻略──4階層ボスに挑もうと思う」
目の前で以前に広場で宣言していた男が言っていた。
名前は──ガイウス。
そして、今集まっているのは彼とフレンドになりフレンド機能から個人メッセージを受け取った者達だ。
「やっぱり、あれが原因よね?」
女性の──エルフのキャラクリエイトしている女性が言う。
皆、その意味を分かっているのか頷いている。
その理由はあれだ。
後続から──遂に休息エリアを牛耳っていた。
大手ギルドが動き始めたからだ。
掲示板でその記事が上がり、危機感を感じたガイウスがこの集会を開いたのだ。
そして、皆想いは1つ──鉢合わせたくないということだ。
鉢合わせたら、どうなるかは休息エリアの現状で分かる。
NPCに対しても横暴な対応を取っていたが、ある日NPCを1人殺した際にはシステムから流石に罰則が下ったらしい。
だが、それを逆にどこまでなら罰則にならないかを徹底的に調べていたというのが遅れていた現状だったりする。
ただ、朗報があるとしたらレベル差だろう。
向こうは数の暴力であり、レベルは一向に育っていなかった。
逆にこちらは攻略組としても見られる位には育っていた。
けれども、それでもだ。
鉢合わせしたらろくな事にならないのは必然的に予想できた。
それに向こうはNPCを既に殺している。
人でさえ、暴力で死のギリギリまで痛めつけているとも記事があがっている。
考えている余地など無かった。
「今夜挑もう──行けるか?」
誰からでもなく。
当たり前だ──と言葉が出てくる。
僕も当たり前だ。
だって、ここの準備エリアの数値が今まで上がっていなかったものが上がっていっているのだ。
これは確定事項だ。
前に進むしかないのだ。
「────」
自分の顔に──表情に出てしまったのだろうか。
一緒に呼ばれていたナビがギュッと自分の手を握る。
はっ! とした僕はナビに感謝をしながら、一緒に今夜の4階層のボスの攻略に向けて準備を始めるのだった。