Death155
「はぁ──なんで俺らな訳?」
「だよねぇ──」
「いや、それで私が何でシュン? バル? お前達と組まねば?」
「「いや、分かるっしょ?」」
「──あぁ、最近分かってしまう私が怖い」
「さっすが、盟友~!」
「盟友と言えば……おぉ──い! シエル!」
遠くで見ていたのに……流石だなと思いながらも手を上げて応える。
この集まりはそう──40階層攻略への集まりだった。
あの消化不良という者や、救われたという者、様々な人が居たが──皆で共通していたのは40階層の攻略だった。
そして、前回はマリとリン……そして、ムシュタルが主導していたのだが──今回はどうしてもと要望が大きくシュンとバルが……ただ、その条件に2人はムシュタルを指名して、いつもだったら無碍にしていたはずのムシュタルが仕方ないと肩を下ろして隣に一緒に立って舵を取っている状態だった。
いや、正式にはシュンとバルからナビとレイ含めて……少し前に酒の席に誘われて正式にムシュタルを盟友にすると紹介されたから分かってはいたが──。
ムシュタルの顔はいつもだったらどこか怒りながら無視を決め込んでいたものだったが、今は仕方ないと肩を下ろしながらもその瞳は本格的に目の前を見据えており、シュンとバルもそんなムシュタルを信頼しているのか、どこかドキドキとワクワクをしているような雰囲気が自然と溢れてきていた。
なので、周囲もその気に当てられてか不穏な空気は無く、どこか弛緩した空気の中で攻略の手筈の話は進んでいっていた。
そして、いつも通りに電撃的に一気に階層を降るとの部分だが──。
「シエル──! 頼むわ!」
「お前のルート取りが一番だからよー」
「そうそう、殿は俺たちが勤めるからよ」
「あっ、ムシュタル……お前も一緒だぜ?」
「はぁ──分かっていますよ。それに確かにそれが最も効率が──」
「っと、いうことだ」
「ま、それに俺たち3人揃えば最強よ!」
「また、あなた達は──まぁ、そうなのですけれども」
「「──だろ?」」
そんな2人に絆されながらも、満更じゃないような反応でムシュタルが頷いていた。
「後は──」
考えられるケース──40階層では仕留め切れなかった。
アークデーモンが立ち塞がる可能性が示唆されて、それに関して作戦を練り上げる。
基本的にはやっぱり前衛──自分達とシュン、バルが前で、中衛でムシュタル、後衛でマリとリン──その他参加の者達が展開するような話をしていく。
「よしっ! 終わりッ!」
「後は、やってみないと分からないっしょ!」
「まぁ、そうなのですが──」
「何かあれば俺たちが守ればいいんだよ!」
「あぁ、その通りだな──それに効率的な最適解をお前なら解けるだろ?」
「はぁ、期待されても全ては応えられませんよ?」
「なら、応えられるくらいの可能性を俺たちが引き寄せてやるよ?」
「だな! ムシュタル……お前に負けない位に熱いモノを俺たちだって持ってるからな」
「──確かに、愚問でしたね」
「分かりゃぁいいんだよ!」
「さて! お前ら! 明日の攻略の前に一杯やるぞ! いいな?」
「「「おおおおお────!!」」」
周囲の熱量は最大になっていた。
そのまま、いつも通り馴染みになっている、ギルドに併設されてる酒場でその日は攻略組の声が響いていたのだった。