Death152
「レイちゃん──!」
ブラッディウォール──!!
「大丈夫です──!」
レイが血の糸を張り巡らして壁を形成してはレッサーデーモンの攻撃を受け止めていた。
ブラッディブレード──!
「ギヤァ──」
そのまま糸を束ねて剣状にして振り下ろしてはアークデーモンを両断しては同時にそのマナを吸い取っていた。
器用だな──。
そう、思って見ていると自分の前にも2体のアークデーモンが迫ってきていた。
『露払い──』
鎌状にしたハジマリの武器で一閃させると目の前のアークデーモンは粒子に変わっていく。
「やっぱり──少し離れると多くなるね」
「それに、周囲に休息とかのエリアが見つからないです」
『やっぱり地獄がモチーフだからかな?』
マップを見つつ、今までの行軍ルートを辿って見ても周囲に町や村は無く、それだった名残というものすら無かった次第だった。
本当に荒れ果てており、所々にて地獄の業火が溢れている始末だった。
「シエル? 方向は大丈夫なの?」
『うん、こっちで合ってるはず』
「──うん」
ナビと僕は良いだろう。
だけれども、良く考えてみるとレイは少しだけだが年下で身体の成長度合いから見ても辛そうだと傍目からでも分かった。
スッ──と目に力を込めると、もう少し先に安全地帯の役割なのだろうか?
マップ状では既に不明エリアで黒くなってきているが、この目からは視覚強化と遠視と千里眼の効果もあって場所が把握出来ていた。
「えっと──大丈夫なの?」
『うーん──この目と僕の感覚を信じるならば……』
「シエルの事なら信じてる」
ナビの言葉に自分も少し自信の無い答えになってしまう。
けれども、レイは全面的に信頼しているのか──イソイソとテントの用意とかに取り掛かっていた。
──大丈夫だよな?
もう一度、スッ──と目を凝らしつつ観察してみるが、遠目からと千里眼でも見えたのと同じく周囲に死の気配は無く。
頭上から自分達を見下ろすように千里眼を発動させて見てみたが、安全なようだった。
「──? とりあえず、あたしはご飯の支度しようかな?」
『うん、お願い。僕は──少しだけ場所を探ってみる』
「は──い!」
ナビの声を後ろに感じつつ、目を閉じる。
そして、千里眼を発動させては加護のある付近へと視点を──。
バチッとその時、何かに弾かれたように千里眼が押し返されて視点が目の前のレイやナビへと返ってくる。
『うわっ──』
っと、驚いた声をあげたからか2人とも意味深な視線を向けて来るので今の弾かれた話を2人にすると──。
「今日は早めに休もう!」
「私も休みます……」
『そうだね、ちょっと……しっかり備えて行こうか?』
2人の意見は挑むのは変わらないと思うから、今日はここでしっかり休んで明日挑もうという、僕と同じ意見に落ち着いていた。
弾かれた瞬間を思い出していたが、特に死の気配は感じなかった。
ただ、煩わしいとでも言うような雰囲気が弾かれる力と共に感じたのを眠りに落ちる直前で思い出すのだった。