Death151
「早く、ちゃんと気持ち伝えればいいのに──」
『え?』
「なんでもな──い!」
「シエルは鈍いと思います」
その光景を途中から起きては聞いていたのか、両腕からナビとレイのため息と共に声が返ってきていた。
「──それで、シエル? 次はどうするの? あたしは攻略に出るのも構わないけれども?」
その後、手早く休息エリアの宿へと戻って支度をするなかでナビが声を掛けてきていた。
『そうだね──』
「シエル……前の行ってた場所──?」
自分の脳内のイメージを切り取ったかのようにレイが着替えながらもひょっこりと開いたタンスのスペースで身体を隠しながら顔を出しつつ自分へと確認の声を掛けてくる。
『うん、ルーティンになりつつあるけれども行こうと思う──ちょうど良い具合に見えるんだ』
少しだけ目を凝らすような仕草になってしまうが、頭上にあるインフェルノエリアの加護が受けれそうだと思う場所を連想すると仄かな気配から正確な濃淡な生死の気配を感じるが──今は死の気配は薄く、正への気配が濃くなっているのを感じる。
「なら、支度して行かなくちゃね?」
「私も──手伝います!」
『なら、今日は準備を念入りにしよう。明日──行ってみようか?』
2人が返事をするのを小耳に挟みつつ、必要な食料とかを考える。
エデンエリアでの加護の試練は一工夫練られていたようなものだ。
インフェルノエリアも同様だと考えてもいいだろう。
そんなことを考えていたら、着替える手が止まっていたようで──気付いたら2人からまだかな? という視線がこちらへと注がれていた。
慌てて気付くのも……と思ったが、冷静を装うのもおかしいかな? と思いつつ、少しだけスピードを上げて着替えをして今日1日は3人でインフェルノエリアの加護の試練への支度へと奔走するのだった。