Death149
『ん──』
目が覚めると知らない天井が──。
いや、あれはエリアの天井……。
ズキッと痛む頭を押えながら起きようとするが両手が動かない。
首を向けると右手側はナビが抱えて、逆の左手はレイが抱き締めていた。
身体が起き上がらないのは──マリとリンが自分を枕にするように更に抱き締めて寝ていたからだった。
マジか──。
いや、男としては美少女に挟まれ抱き締められ至福なのだろうが──シチュエーションにも寄るだろう。
確実な二日酔いだと思われる頭に今の状況は少々酷に思えてきていた。
ただ、周囲を見てみると何名かは意識を持ち直したのか起き上がってる者や、同じく頭を抱えて居る者も居た。
攻略してから数日、皆落ち着いたタイミングで打ち上げを35階層の休息エリアで行ったのだが──人数が人数で盛り上がり過ぎたのは否めなかった。
マリとリンの側近のギルドメンバーも見えるのだが……マリとリンの緩みきった表情を見ては起こすのを諦めてしまい、自分へ向けて恨み? 申し訳無さ? 色んな感情がどう合わさったか……だが、明らかにそれらを感じる表情をして、こちらを一瞥してから去っていっていたのだった。
とりあえず、もう少し……こうしてないとダメかな?
ある程度覚悟を決めた所でそっと目に力を込め──いや、もう込める必要は無くなったのだろう。
この目では意識をしたら、無数の生死……いや、運命ともいうのだろうか。
それらの糸が複雑に折り合う世界が見えているのだった。