Death144
「このままでは──くっ、私の実力不足なのか？」
ムシュタルの誰にも聴こえないような弱気の声がその口から漏れ出ていた。
何とか恐慌状態に陥ったメンバーを集めては陣形を築き直してレッサーデーモン、グレーターデーモンと交戦していたが──あのアークデーモンのバフがあって以降、徐々に数も圧倒的に向こうが多く押され始めていた。
そして、押され始めた先の指し示す未来は──死だ。
だが、まだ自分を慕っているメンバーやら他ギルドのリーダーが奮戦して、陣形は何とか保たれていたが──。
「姉御──!! なんで俺のために──」
「あんた──バカだね。惚れた男に女は弱いんだよ──」
「えっ──」
「さ、サブマス──!! 敵が来ています──！」
「お前ら!! 姉御を連れていけ──！」
「サブマスは?!」
「うるせぇ──！ 姉御……いや、薄々気付いてたんだよ！ 女が魅せてくれた今を全力で俺は──！」
ヴァネッサと言われたリーダーを置いたギルドが今まさに瓦解しそうになっていた。
サブマスへの凶刃の一撃をマスターであるヴァネッサが身をていして守ったようだった。
だが──サブマスも言葉の割にはボロボロだ。
ムシュタルもその現状には早くに気付いたが──もう彼がそちらへ割けるリソースが残ってはいなかった。
「サブマス──!!」
「あ……ん……た──逃げ……」
「姉御──お前達は俺が守るん──」
レッサーデーモンの群れとグレーターデーモンが既に目の前に迫って再び、凶刃の一撃を振る舞おうとして──。
「おっ！ 漢が居るじゃん！」
「にぶちんが──漢になってる──！」
愉しそうな声と共に……周囲を巻き込むように旋風が──彼らの大鎌が巻き起こしていた。
「よっと──」
「こういうの日本語では100点満点っていうんだっけ？」
だよね──？
と、おかしそうにしつつ今まさに命を張っていたがどこか呆けて居るサブマスに問い掛けていたシュンとバルが居た。
「お、お前達──」
「へぇ、ムシュタル──頑張ってんじゃん」
「ムシュタルも100点満点～！」
「ッ──！ ふざけてる場合じゃ……」
「「分かってるよ──」」
「──!!」
そのまま、2人がムシュタルの下に言ってはふざけた調子でムシュタルへと接触していたが──一気に真剣な表情になってムシュタルへと視線を投げ掛けていた。
「シエル程じゃないけれども──」
「あぁ、俺たちもムシュタルの能力は買っているよ」
「あの子達──と君の頑張りも含めて──」
「そうだね──今だけは君の指示に従おう」
「「だから、最高率の正解を導き出すんだ──！」」
「なっ──?! ……分かった。──少しだけ時間を……」
はいよ──！
そう言ってシュンとバルは駆け出して行き、周囲でピンチに陥っている場所へと舞い降りてはレッサーデーモンを刈り取っていた。
「あいつら──」
常に冷静なムシュタルには珍しく、頬が高揚しては広角が上がっているのをムシュタルのギルドメンバー達は気付いていたが野暮な事は言わなかった。
むしろ──本人は無自覚らしく、その表情はシュンとバルも目の前で見ていた事だろうこともメンバー達は気付いたが──彼らも自身では気付いては居なかったが皆、頬が高揚しては広角が上がっていたのだった。
そこからは展開が大きく動いて行った。
ムシュタルが後衛と中衛をこなしては的確に指示を出しては先駆けとしシュンとバルが動いては陣形を強固にしていき、周囲のレッサーデーモンとグレーターデーモンは明確にその数を減らして行っていたのだった。
