Death139
「シエルくん──ありがとう」
「助かったよ」
「やはり、あなたは──シエルはいつも私の期待に応えてくれますね」
ナビとレイと束の間の休息を取ってる中でマリ、リン、ムシュタルが自分達の休んでる場所へと来てくれていた。
「マリとリン──ムシュタルも頑張ったと思うよ?」
「はい」
そんな2人にナビとレイは応えていた。
それを横目に僕は34階層のボス部屋へと目を向けていた──。
「シエルくん? 嫌な気配はするの?」
「うん、それも聞きたくて来たんだ」
「シエルのそれは──理解は出来ないがいつも参考にはなるからな」
3人の声を聞きつつも見ている。
ただ、妙な気配──?
感覚が漂って来ていた。
元から地獄と言うテーマの環境だからか、死の気配は常に纏わりついている印象だった。
ボス部屋の扉からも似たような──いや、更に濃厚な気配が漂って来ていた。
数値も50──40──60と変動しては消えては現れている。
『いや、正直には分からない──けれど』
けれど──?
『正直にどう転ぶか分からない、皆覚悟を決めた方が良いと思う』
それは今さらだよ──!
と、リンはコロコロと笑いながら応えるが──。
「いや、シエルの見立てのその反応は……分かりました」
「引き締めて注意を払って行きましょう」
逆にマリとムシュタルは真剣見の帯びた顔になっていた。
ありがとう──ボス戦頑張りましょう。
そう言いつつ、マリ達は立ち去って行った。
「ねぇ、シエル?」
『ん? どうしたのナビ?』
本当のところは──?
と、聞かれて見えてる現状と推測を伝える。
「それは危険」
「だ、だよね──」
レイの一言にナビも緊張の走った顔で頷いていた。
『とりあえず、死なないように行こう』
うん──。
2人が頷いて見てくる。
そして、覚悟を決めたところでリン、マリの声が響いて来る。
「行きましょう──!」
「行こう──!」
ムシュタルは眼鏡を直しつつ、装備を最後まで入念に見ていた。
おぉ!
あぁ──!!
各集まったギルドから声が上がっている。
そんな周りの声を聞きつつ、リンとマリは頷いてボス部屋の扉に手を駆けると──。
ブワッ──と扉は突然燃え上がり奥への道が現れる。
そして、リンとマリが奥への道へと踏み込もうとしたら──転送されていったように消えていくのだった。
皆、それぞれ──それに続いていく。
────。
ブワッと燃え上がった瞬間──死の匂いが一気に充満したことをナビとレイにそれとなく伝えると。
2人から緊張と覚悟の気配が一層強まった。
『行こう──』
けれども、ここで退却などは有り得なかった。
覚悟を改めて決めて、僕たちは奥の道へと踏み込んだら──一気に浮遊感を感じては地上に足が着いていた。
そこは真っ暗な世界で──。
そう、30階層のボス戦──を連想させるには充分だった。