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136/155

Death136

今回は私たちがやらせて貰うわ──!

そう、インフェルノエリアの準備エリアのギルドに併設されてる食堂内にその声は響いていた。


声の主はリンだ。

リン、マリ、ムシュタルの3人が立ち上がっては発言していた。


今回の攻略組でのリーダーを勤める人選の話での立候補だった。


「我々の立場が無いですから、出来たらお願いしたい」

ムシュタルが眼鏡の位置を直しつつ、発言していた。


「あぁ、俺たちはパスパス~」

「ムリだね。面倒だし──こいつら見るだけでもダルいのに」

視線をバルとシュンに向けたら、手をプラプラとさせながらシュンは背後のメンバー……、いや──臣下と言えば良いのだろうかを指しながら足を机の上に組んで置き直しては発言していた。


「ッ──あんたたちはいつもいつも……」

「あぁ──うるさい小鳥が泣いてるわ」

「──ッ!」

「ほら、リン落ち着いて──」

「そうだよ、ぶりッ子ちゃんも言ってるんだから落ち着きなよ?」

「はぁ──?!」

「お前達──その辺にするんだ……!!」

リンとバル、それを止めようとしたマリにシュンがちゃちを入れては──見かねたムシュタルが止めに入っていたが、場は荒れに荒れそうになっていたが──。


そうだよな──。

周りはどう止めようかと躊躇うばかりであった。


まぁ、分かりはするけれども──。

本当のトッププレイヤーでもあり、各サーバーを取りまとめてる立場の人間だ、扱いは相応に難しいだろう。


「────シエル?」

ナビがそれとなく視線を投げて来るが理由は分かっている。


『ほら──シュン、バル落ち着いて……まぁ、呼び出されて面倒なのは分かるけれども』

「おお! 流石シエル!」

「話が分かるじゃん!」

自分の掛け声に2人は先程の雰囲気は払拭されて自分の方へと寄ってきていた。


「なっ──シエルはそっちの方を持つの?!」

「ほら、リンも──マリはほら眉間に皺が入ってるよ」

「──!」

リンとマリの方にはナビが──仲裁に。


「落ち着いて──」

「あ、あぁ……」

ムシュタルの方にはレイが歩み寄っては落ち着かせていた。


「ま、いいよ。今回は付き合うよ」

「俺たちも状況は分かってるしね」

「最初からそう言えば──」

ほら、リン──落ち着いて……。

ナビが慌てて仲裁に入っていた。


とりあえず、そこからはムシュタルが細かい所を詰めつつ、リンとマリを先頭に戦略や行軍の方向性を取りまとめた。


「こんなところか──?」

「うん、そうだね」

「ええ、これなら──」

最後にムシュタルが各ギルドのマスターに話をしつつ、周りも静かに聞いて作戦を頭に入れる。


「では──出発は明日の早朝にて!」

「皆様、体調管理を宜しくお願いしますね」

「時間は有限だ。しっかりと頼む」

リン、マリ──眼鏡を直しつつムシュタルが最後に声を掛けて、会議は終わるのだった。


「んじゃ! 終わりだな? シエルまたな!」

「ナビちゃんとレイちゃんもまた──!」

あっ……シュン様! バル様──!!

手短に別れの挨拶を済ませて2人は立ち去っていく。

それを配下のメンバーが慌てて追いかけて言っていた。


「シエル、私もまた──明日は宜しく頼む」

ムシュタルが襟元を正しながら挨拶を済ませてキビキビと立ち去っていく──。

彼の性格が現れているのかメンバー達も統率された動きでギルドから立ち去っていく。


「シエルくん?」

「本当は私たちの味方です──よね?」

あはは……。

笑って済まそうと思ったらリンとマリに詰め寄られる──。


マスター──?

「あっ──ごめんね──! 今、行くから!」

「あっ、失礼。 少しだけ待っていて頂戴」

「「シエルくん? 明日は頼んだよ?(わね?)」」

は、はい──。


ギルドメンバーだろう人達に呼ばれてリンとマリがそのまま立ち去って行った──が、心労が一気に磨り減ったような気がした。


「シエル? お疲れ様」

「お疲れ様です、シエル──」

『あはは……ありがとう』

力無く笑顔を浮かべるがそのままズルズルと客席に腰を預ける。


「大丈夫かシエル?」

『あぁ、ガイウス──大丈夫大丈夫』


「すまないな、口を出せるようの雰囲気じゃなかった。あれが上ってやつか」

「何言ってるのハンネス? もうパパになるんだから余り無茶しないでよね?」

「──あ、あぁ、すまない」

「「パパ──?!」」

ナビとレイの声がハモっていた。

いや、自分も内心突っ込んでいたので自分も内心ハモっていたのだが。


「あぁ、はは──変だよな?」

「変じゃありませんよ。ちゃんとあなたと私の大事な宝物です」

「凄い──」

ナビが驚きながらそっとセーレのお腹を撫でていた。


「まだ分かったばかりなのだけれどもね」

「一応、俺たちは話し合いには来たが参加するかは分からないんだ」

『いや、それは──もう……』

「家族──大切にして……」

そこにレイが神妙な表情で近付いて来ては同じくセーレの

お腹を撫でていた。


「あぁ──そうだな」

「ありがとう、レイさん……」

2人はレイを見つつ、今回の参加を諦める事を決めたようだった。


「あたいも──いつか……」

「姉御? どうしたんすか──?」

「──ッ!! あんた聞いてたのかい?!」

「へっ──? いえ、今姉御を呼びに……」

「あ、あぁ、そうなの……。と、とりあえず行くよ! シエルまた戦場で会いましょう!」

は、はい──。

近付いて来ていたヴァネッサは顔を染め上げながら、サブマスの人に顔を余り見られないようにしながら立ち去って行っていた。


「早く想いを言っちゃえば良いのに──」

「あはは──」

「あのサブマスの人も早く気付けば……」

「あの手の男の人は気付きずらいものなのよ」

セーレの言葉にナビとレイが反応を示していたが、レイの疑問にセーレがこればかりは時間が解決かヴァネッサの努力次第ね──と締めくくっていた。


「ハンネスさ──ん!」

「ほら、あなた行くわよ?」

「あぁ──って、待て。俺からそんなに離れるな──危ないだろう?」

「ハンネス──あなたって本当に……言い男よね」

「なっ?! ──ほら、行くぞ。スピードはこのくらいか?」

「ふふ──」

ギルドの入り口からハンネスを呼ぶ声が聞こえて、それに合わせて2人も自分達から離れて行った。


そのままギルドで食事を取る者も居たが先程の緊張感は霧散していた。


『ご飯はどうする?』

「宿の方があたしは好きかな?」

「私も──宿で食べてお風呂……したいかも」

お風呂──か。

最近は一緒に入っているとは誰にも言えない。

とりあえず、宿でご飯を食べようと決めて自分達もギルドから立ち去るのだった。


そのまま、宿でご飯とお風呂──眠る前にお互いに回復や呪い、魔眼を掛けたりして熟練度を上げてから眠りに……一緒のベッドで就くのだった。

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