Death133
『えっと──1人ずつ紹介していくね』
そう、前もって言ってから説明を始める。
まずはリン──米州の方のサーバーのプレイヤーで良く一緒に古代龍へと挑んでいたメンバーだったりする。
掲示板でも米州のサーバーを引っ張っている存在としては話題になっていた人物だ。
そして、マリ──彼女は欧州の方のサーバーのプレイヤーでリンと良く組んでいたメンバーだ。
一緒に古代龍へと挑む機会が何度かあって、顔見知りになった人物で──彼女も欧州の方ではサーバーを引っ張っている存在だ。
最後にムシュタル──彼は連邦の人間だ。
ロシアのサーバーに所属していて見た目もキッカリとしているのが、見た目同様──寸分違わない状況判断や適切な指示からサーバーを引っ張っている存在だ。
ただ、古代龍戦の折りは──シュンとバルとは決定的に合わなく……。
シュンとバルはどちらかというか直感から動いて、ムシュタルは計算から動いているので──結果はどちらも得難いものはあるのだが、根底が圧倒的に違うと言う欠点があったりしていた。
パーティーをお試しで組んだ際に機能不全に陥ってからというもの、良く相対しては争うのが名物になるくらいだった。
「いや、私は悪くない──彼らも計算しながら動けば更に動きが磨かれるのです」
そんな説明を終えた後にムシュタルが早速捕捉──いや、訂正を入れてきていた。
「全く──ムシュタルは変わらないね~」
「ええ、本当に全く──変わら……ナビ? その指に光ってるのは何かしら? 良く見たらレイさんも──」
マリは自然とナビとレイの指に嵌まっている指輪に視線が釘付けになっていた。
そして、目敏く自分の指も確認して──同じのが自分の指にも嵌まっているのを確認して顔を青ざめさせていた。
「あれ? あれれー? シエル? 僕のは? ねぇ? 僕のは?」
「シエル──。 私だって──」
「あっ──シエル。食事ありがとう、代金はこちらに置いておくから……その、頑張ってくれ──では」
リンはどこか壊れたオルゴールのような──マリは青から赤く……。
ムシュタルは何かを感じ取ったのか……、そっとSEEDを机の上に置いてから席を立って逃げるように店内から出ていってしまった──。
『あっ、いや、これは装具で──』
「ふぅん──」
「な、なるほど……?」
『でも、ナビとはその結婚システムを……』
ピキッ──と音がしたような気がした。
ひぃ──!!
っと、近場で食事をしていたお客さんが逃げていくのが目の端に見えた。
レイも怖がっていたので、そっと手を重ねると──。
「それで、ナビとは分かりました──レイさんとは?」
「シエルくん? いつからそんなに節操なしになっちゃったの? ねぇ?」
『レイとは──結婚システムは1人だけだけれども……その心から──』
「あぁ──!! ダメ! 僕ここから聞きたくない!」
「私も──!!」
ダンッ──!
っと、机が叩かれると同時にビシッとヒビが入っていた。
「えっと、マリ? リン──?」
「「私(僕)たちも幸せになりたい──!!」」
ナビの声掛けに2人は口を揃えて発言してキッ──と自分を睨み付けて来ては
今日は帰る!
今日は帰らさせて頂きます!!
と、2人は最後は言って店内から出ていってしまった。
後に残されのは店の端に避難したお客さんや、ヒビの入った机や──放心してる自分と。
「まぁ、こうなるとは予想はしてたけれどもね」
「あの2人もシエルのこと──」
そうだよ?
と、ナビの声が耳に入ってきていた。
「ほら、シエル? とりあえず、食べて帰りましょ! なっちゃったものは仕方ないのだから、それにこうなるの薄々気付いて離れようとしたのでしょ?」
ウッ──。
っと、痛い所をナビに突かれてしまう。
「う──ん、でもシエルらしい?」
レイはそんな自分にどこか、らしさを感じたのか妙に納得していたのだった。