Death119
『えっと──?』
ガイウス、ハンネス、シュン、バルの視線が自分へと向かっている。
なんでこうなった?
始まりは──。
「30階層に挑もうと思う──!」
そうガイウスが切り出して、周りが鼓舞し始めたところまでは一緒だった。
だが、今回違うのは──。
「うーん? なんか違くね?」
「あっ! わっかるぅ──!」
いや、何が分かるんだ?
シュンとバルが発言すると周囲が静かになるのと彼らの背後に控えていたギルドメンバーも緊張が走ったように固まっていた。
「シエル? 君がやるべきだよ」
「それに俺はシエルじゃないと参加しないわ」
2人の発言で一気に周囲の目が自分に集まる。
「俺もお前がやるべきだと思う」
ハンネスが彼らに続いていうと──。
「へぇ──分かってんじゃん、あんた」
「っと、言っても皆そう思ってんじゃね?」
っと、バルが周囲を見ると皆黙り混んでしまった。
「シエル──実は俺も……」
そして、ガイウスが自分を見て発言して──今になる。
今になってしまった。
どうしろと?
「シエル? あたしも助けるよ?」
「私も──」
自分の後ろに居た2人も少しだけ前に出て自分を見て声を掛けてくれる。
以前の自分を思い出す。
一番最後に挑んだ古代龍の時は自分が舵取りをしていた。
いや、それ以前もやる機会は多かった。
だけれども、今回渋ったのは前回のアークエンジェル戦でナビとレイの大切さを知ったからだ。
それにこれは現実だというのが慎重さに拍車を掛けていた──いや、掛けていたが……。
「覚悟決まったみたいだな」
「シエルは才能あんのに、毎回決めることだけは慎重過ぎるんだよな! ま! そんなところが俺は気に入ってるけれどもな」
わっかるぅ──!
っと、シュンとバルが嬉しいそうにすると。
2人の機嫌が良くなったのが分かったのか彼らのギルドメンバーの緊張感が少しだけ和らいだのが分かった。
『──分かった。 なら、今回はリーダーをやらせて貰うよ』
えぇ──今回だけかよ!
ま! 良いじゃん?
シエルがやるっていうの中々難しいじゃん?
シュンとバルがにこやかに会話をするなか、ソッと両手をナビとレイが重ねてくる。
ありがとう──。
そう言うと、どちらも頷いて応えてくれていた。
さて、と──。
そうと決まれば作戦を練らないとな──。
とりあえず──と、考えていた自分なりの攻略プランを話すと皆賛同をしてくれたのでそれで動く事になった。
そして、そのまま親睦を深めるという理由でシュンとバルが提案して攻略組にて晩餐をとるのだった。
そして、そのまま各自解散して──明日、僕らは30階層へと挑むのだった。