Death112
「おはよう──」
「よう──……」
おはよう。
そう、挨拶しつつ手早く出発の準備をする。
レイは朝が弱いのは分かっているからナビと2人で軽くサポートやフォローをしつつ身仕度を済ませる。
ありがとう──。
脳も身体も覚めてきたのだろう。
レイはいつも通りお礼を言ってくるので、軽く相槌を打っては3人で最終的な準備や装備の確認をする。
うん、大丈夫そうだ。
『行こっか?』
2人が頷くのを見てから、お世話になった一軒家を出る。
そのまま、果ての名もない天空の地を果てまで歩いていく。
ただ、歩くだけではない。
行き先によっては数字が完全に途切れるからそこは果てなのだろう。
けれども、この目で捉えた数字の続くルートを進み続けるとマップ上の果てに辿り着いた時に──薄く光る透明な道が現れたのだった。
「凄い──けれども、これ歩けるのよね?」
「う、うん──」
2人ともおっかなびっくりになっているが、視覚的には分かる。
下は既に地面が無く空なのだ──。
落ちたら1発で死亡扱いだ。
蘇生は──復活はされようがいつかは魂が擦りきれて消えてしまうのは分かっている。
けれども、分かっているのはもう1つある。
自分の目で見える数値は低くて死の危険性は無いこと。
逆に先には生の気配が濃厚で、この先にはこれから生き残るには必須な何かが待ち受けているのは分かっていた。
『大丈夫、行こう』
そのまま、一番先に足を踏み出す。
僕の足は透明な道をしっかりと踏みしめていて、ちゃんと上に立っていた。
それに透明だけれども──薄く輝いているのが目を凝らすと分かる。
ただ、マップを見た限りは黒塗りの部分。
マップ上では果ての先を歩いている状態になっていた。
隠しステージかな。
かつての天空の城エデンをプレイしていた中で、このような現象は度々体験していた。
そして、その先は試練が確かに待ちわびていたが──それを乗り越えた報酬はそれに見合って大きかった。
僕たちは──いや、ナビとレイは未だにおっかなびっくりな部分はあるけれども。
確かに僕たちはこの透明の輝く道を、この目で捉えられる先のエリアへと歩を進めるのだった。