Death106
『アイスシャベリン──!』
見掛けは普通のアイスシャベリン──。
隙を見せたアークエンジェルへと魔法を放ったが読み通り天使達は敢えて迎撃せずにハンネス達へと向かっていく。
だが──。
ガキィィィ──ン!
「Aaaaa──?!」
当たった衝撃は別物だ。
練り込んだ魔力が炸裂してアークエンジェルへとダメージを与える。
「Aaaaa──」
そして、一気にアークエンジェルからの警戒が自分へと向けられる。
何割かのエンジェルもそれに合わせて自分達へと降り注いでくる。
これでいい。
ここからだ──。
数値がしっかり見えなくても分かる──。
相手の急所へと通るように、こちらを狙ってくるエンジェルの動きに合わせてハジマリの武器を振るうと、光の粒子に散っていくエンジェルが居た。
そして、同じく他のエンジェル達もナビとレイの手で殲滅される。
「Aaaaa──!!」
痺れを切らしたのかアークエンジェルがこちらへと直接攻撃を振るってくる。
血の結界──!
なで斬り──!
ナビとレイの守りと迎撃がアークエンジェルの攻撃とぶつかる。
お互いのダメージがどちらかに呑み込まれる事なく、弾き返される──!
ッ──!
ここだ──!
『カタストロフィ──!!』
先の闘いでも使った──今の自分で放てる最高峰の攻撃──。
それをこの目と感覚でアークエンジェルの急所──数値の一番高い部分へと自分の攻撃が呑み込まれて行く──。
「Aaaaaa────!?」
2度目の──先とは比較にならないアークエンジェルの悲鳴が世界へと響き渡った。
「────!」
余りのダメージなのか、自分の目で見えるアークエンジェルの死の色と数値が一気に加速して増えているのが映っていた。
自分の危険を感じ取ったのか、一気にアークエンジェルは自分達との戦況から離れるように距離を取り始める。
ゴーン──。
ゴーン──。
鐘の音色が世界を包み込む。
そして、自分の目では違った景色が広がる。
未来──。
この鐘の音色が響き渡ると同時に回復するアークエンジェルの未来。
『させな──い!』
誰の声だと思ったら。
自分の声だった。
今しかない──。
それをこの目を通しても伝わってくる。
そして、極限の集中状態に──。
同時に視界がアークエンジェルへの軌跡を辿るように道を──アークエンジェルの死への道筋が視え始める。
信じていいのか──?
ゴーン──。
いや、信じる──!
ゴーン──。
未来が確定してしまうまで、時間が無いと伝えたいのか。
この目で見えたアークエンジェルの死への道筋が暗く闇に包まれて──。
『行け──行け──! 行けぇぇ──!!』
自分へと渇を入れて一気にアークエンジェルへの死への道筋を駆け出す──!