Death104
「Aaaaa────!」
アークエンジェルの声が世界に鳴り響く。
ゴーン──。
ゴーン──。
鐘の音色が世界を包み込む。
それと同時に天上から天使が産まれ舞い降りて来る──。
同時にパッシブが与えられたのか──一瞬光に包まれたエンジェル達は自分達目掛けて地上へと向かって降下してくる。
こんなの──。
む、無理だ──。
そんな声が耳に届いてきた。
レイド仕様が始めての者だろう。
ガイウスが鼓舞しているが効果は──全てにとは言えてないのが見て取れた。
そんな中──。
「おい? 分かってるな? 逃げるのはダメだ──逃げたら分かってるな?」
「あらあら──あなた? そんな言い方はダメよ? 俺に着いてこいって言えば、皆着いてくるわよ?」
う、うるせぇ──!
照れ隠しなのか、ちょっと動揺した声色に鳴りながらもハンネスが前衛で身体を張って闘っていた。
その横にはハンネスをサポートしつつも、一緒に闘い合っているセーレが居た。
ブランシェの陣営は彼らを軸に強固に──そして、レイド仕様の動きを取っていた。
「お前ら! ガードだ──!」
「来るわよ──3.2.1──今ッ!!」
「「シールド!! ヒール──!!」」
「おい! 行くぞ!」
「傷付いた者は後衛と交代を──! ほら! ハンネスがあの人が突っ込んじゃうわよ!」
「「は、はいっ!」」
単体じゃない。
皆で1つの個として対処している。
けれども、今はまだ途切れなく産まれ落ちて来る天使達で手一杯な状況だった。
「シエル──!」
「シエル──」
ナビとレイの声が聞こえてくる。
分かってる──。
最善──勝つための道筋──。
そして、この目が──。
死神として感じ取れる分かる中での最善手。
皆の魂が揺らいでいる。
エンジェルの魂も。
アークエンジェルでさえ。
世界は魂と生死の数値と色が包み込んでいく──。
見えている──。
分かっている──。
けれども──!
「ハンネス──!!」
「──るせぇ! 大丈夫だ!!」
セーレの声が聞こえて、そちらを見やるとエンジェルの槍に貫かれているハンネスが居た。
セーレが慌てて応急処置を施しているが彼はメンバーを守るように立ち回りながら闘い続けていた。
「シエルぅぅう──!! おめぇ! 手ぇ抜いてんじゃねぇよなぁぁ──?」
──ッ!
「ガードだ!」
ガイウスの声が──。
「姉御! まだ回復しきって──」
「待つのも待たされるのも! あたいは嫌いなのよ! もう一度炸裂させるよ──!!」
「ッ──! どこまでも着いていきます!!」
「あぁ! それでこそ! いい男だよ!」
ヴァネッサの声も聞こえて来る。
「シエル──!」
「────」
ナビの覚悟を決めさせる声とレイの真剣な目が自分を捉えてくる。
最善の一手──。
想像して変化していく未来の可能性の中で不確定ながらも可能性が最も高い闘い──。
それは──。