九日目 死亡者
この話には志賀夏希は出て来ません。
「昨日はすみませんでした。昨日現実逃避した西谷直哉です。今日は俺頑張りますのでどうか見捨てないで下さい」
俺は頭を深々と下げる。
「わあ、直くんの頭が壊れてる」
「・・・・・・・」
ちづ姉がなんか言っているがここは無視を選択する。
「・・・・しくしく・・・直くんがお姉ちゃんを無視したぁ」
「・・・・・・・」
ちづ姉が泣いているが無視。
ついでに言っとくがここは家ではない。
学園の自分のクラスだ。
なんでここにちづ姉が居るのか?それは俺が弁当を忘れてちづ姉がわざわざ届けてくれたのだ。
「おい直哉。千鶴姉さんが泣いているぞ。直哉が弁当を忘れているのをわざわざ届けにくれたのにその対処はどうかと思うぞ」
「・・・・・・・」
竜二が何か言っているが無視。
「「・・・・しくしく・・・」」
竜二とちづ姉が泣いている・・・が無視・・は出来なかった。
「・・・・分かりましたよ。すみません」
俺は折れて謝る。
するとちづ姉と竜二が(パアッ)と明るくなった。
「直くん!お姉ちゃんは直くんを信じてたよ!」
「何を!?俺何か信じるとかに関係ある事言ったかな!?」
「直哉!俺は、俺は。直哉をし・・・」
「あっ、竜二には言ってないから」
「なにぃぃぃぃぃーーーーーー!!」
竜二が机に突っ伏して(しくしく)泣いている。
対するちづ姉は嬉し涙を流している。
「(今日はよく泣く日だな)」
俺がそんな事を思っていると奈穂さんが
「そうね」
と言ってきた。
俺は何度も頷いて・・・
「・・・読心術!?」
俺は驚いた。
「(読心術。奈穂さんVersionだ)」
「違うわ。直哉は声には出していないけど口を動かしているからよ」
「むしろ読唇術!?」
奈穂さんが読唇術を取得していた。
「(じゃあ奈穂さんが読唇術でちづ姉が・・・あれ?)」
俺は疑問に思った事をちづ姉に聞く。
「ちづ姉も読唇術を取得していたんですか?」
さっきまで嬉し涙を流していたちづ姉が首を横に振る。
「ううん。お姉ちゃんは読唇術じゃなくて読心術だよ」
「(同じ読み方なのによく通じるな)」
「ついでに直くん専用だよ」
「何その嫌な専用!?」
「他には人の記憶を見る事も出来るよ」
「それ駄目でしょう!!」
「ついでにこれも直くん専用だよ」
「また俺専用!?あとちづ姉一体何者!?」
「ムムムッ・・・見えた!」
「人の過去を見ないで下さい!!」
「俺も見えるぜ」
俺とちづ姉に川嶋が割ってきた。
「川嶋。おまえも見えるのか?」
「ああ、直哉の過去を見てやろう」
「見なくていいから!」
「ハァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見えた!」
「長っ!!ちづ姉と比べて長っ!!なんでそんなに違いが出るんだ!ってその前に人の過去を見ないでくれる!?」
「じゃあ言うぞ?」
「聞けよ!!」
「直哉は・・・子供の頃親に抱かれていた!」
「・・・・・・うん。まあー何かが無い限り普通皆あるよね?・・・・つまり」
〔普通〕
川嶋以外の皆が綺麗にハモる。
川嶋に奈穂さんがトドメを刺す
「・・・・・微妙ね」
「ぐあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
(バタッ)
川嶋が倒れる。
「(前にもこんな事があったな。確か入学式の翌日)」
皆岡崎を見る
「えっ?なんです?」
岡崎
「あの時はいろいろあったよなぁ」
竜二
「あの皆さーん」
川嶋
「そうね。少し楽しめたわ」
奈穂さん
「少しだけなんだ」
平永
「誰か俺に構って」
川嶋
「何があったんですか?」
ちづ姉
「実は・・・・・」
竜二
「へえーそんな事があったんですか~」
ちづ姉
「俺ホントに精神がヤバいですよ~。このままだったら俺は」
川嶋
「うぅ皆さん酷いですよ」
岡崎
「ワリぃな、岡崎」
昇
「・・・・・」
川嶋
「なんか止んだね」
俺が川嶋を見ると川嶋はまだ地面にへばり付いている。
「川嶋君大丈夫ですか?」
岡崎が声を掛けるも川嶋は反応しない。
「まさかあの川嶋が死ぬなんて・・」
奈穂さんが顔を手で覆い隠す。
「死んでねぇよ!」
川嶋が起き上がってきた。
〔・・・・・チッ〕
「全員舌打ち!?」
川嶋「何!?このサブタイトル!!死亡者って俺死なねぇよ!」
奈穂「チッ」
川嶋「また舌打ち!?」
奈穂「なんであなた生きてるの?」
川嶋「・・・なんか死んでほしい様に聞こえるんだけど?」
奈穂「そう言ったつもりなんだけど。そう聞こえなかったのかしら?・・・私もまだまだね」
川嶋「おい。秋葉。お前表に出ろ。その喧嘩買ったぞ」
奈穂「仕方ないわね。直哉審査員しなさい」
直哉「俺を巻き込まないで下さいよ」
(スバンッ)
直哉「一本!一本背負い。勝者秋葉奈穂さん」
奈穂「これで私の勝ちね」
川嶋「クッ、まだだ!まだ勝負は終わっていない!」
奈穂さん
百戦中百勝ち零負け