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俺の学園生活  作者: BJ
8/45

八日目 本・陰と陽

入学式から一週間が経った。

今日は月曜日。

「堀川さんこれ」

俺は学園にいて、同じクラスの堀川さんに前の火曜日に本を貸して貰ったので返している所だ。

「・・・・そう」

堀川さんが本を受け取って俺を見ている。

「ん?・・あっ、本ありがとう。よかったよ」

「・・・・そう」

堀川さんは目線を俺から自分の机に変える。

「・・・・これ」

堀川さんがまた俺に本を渡す。

「えっ?また?」

「・・・・嫌?」

「嫌じゃないです!ものスッゴく嬉しいです!・・・でも、どうして俺に本を貸してくれるんですか?」

俺が尋ねると堀川さんはさっきから変えない真っ直ぐな目で俺を見据える。

と、堀川さんがゆっくりと口を動かす。「・・・・私が書いた」

「(ワタシガカイタ?)」

俺は意味が分からずに頭の中で何度も繰り返す。

「・・ぇぇっ!?これ堀川さんが書いたの!?」

俺の言葉に堀川さんが(コクり)と頷く。

「そうなん、だ」

俺は呆気に囚われていると堀川さんが口を開く

「・・・・本当は?」

「本当?」

「・・・・本を読んだ感想」

「・・本当だよ。本当によかったよ」

「本当のことを言ってあげた方が良いわ」

「えっ?」

「・・・・・・・」

突然話しかけてきたのは奈穂さんだ。

「奈穂さん。何を言っているんですか?本当のことって・・」

「本当によかったの?何か思うことはなかったの?直哉。あなたは何か嘘をついてないかしら?」

「・・・・」

奈穂さんの言葉に俺は黙り込んでしまう。

何故か?それは的を獲ているから。

俺はこの本を見て堀川さんが書いたと聞いて一つの疑問が浮かんだ。

(これ本当に堀川さんが書いたのかと言う疑問。でも、堀川さんは嘘をつかない人だから。堀川さんとはあまり話したことは無いけど何故か堀川さんは嘘をつかないとハッキリ言える。そして俺が思った疑問は)」

俺は堀川さんに向き直る。

「堀川さんの心が見えない。・・・というのが俺の感想です。文句言っている様に聞こえるかもしれませんが違います。俺は堀川さんの心が知りたいです」

「・・・・・・・」

堀川さんは黙りながらもいつもと変わらない真っ直ぐな目で俺を見ている。

俺は目をつむる。叩かれても仕方ないからだ。

でも、俺に何かが当たる感覚はしなかった。

そっと目を開けると堀川さんは相変わらず俺を見つめる。

「・・・・そう」

目の錯覚だろうか?

堀川さんが少し笑った気がした。

でも、すぐにいつもの無表情な堀川さんに戻っていた。



「(今思ったら俺酷くない?人の作品を馬鹿にしているし、あれは奈穂さんが言ったから置いといて。堀川さんが笑ったのを目の錯覚だって思ってしまった。嗚呼!!どうしよう!俺は一体どう謝ったらいいんだぁー!!!)」

「ど、どうした直哉。いきなり頭を抑えて、頭痛いのか?」

竜二が俺を心配しているのは分かっているが

「うるせぇー!頭痛いのはお前だ!」

「いや。そういう意味じゃなくて、ってそれ酷くね!?」

「酷くないわ。それが現実よ」

竜二に奈穂さんが言う。

「なんだとぉ〜」

「聞こえなかったの?なら頭痛いあなたにもう一度言ってあげる。酷くないわ。それが現実よ。と言ったの」

「聞こえとるわぁ!」

竜二が叫んでいるのを無視して弁当をつまむ奈穂さん。

俺がそのコントを見ていると俺の誰もいなかった隣に誰かが来た。

堀川さんだ。

俺は堀川さんで朝のことを思い出して俯く。

堀川さんは俺の隣に椅子を持って来て座ると俺に開けてあるパンを差し出した。

「・・・あの、堀川さん?これは何ですか?」

「・・・・パン」

「いや、そうじゃなくて、これがパンなのは知っていますから。俺が聞きたいのは何をしているのかってこと」

「・・・・食べて」

「えっ食べるの?」

堀川さんは(コクり)と頷く。

「じ、じゃあ頂きます」

俺が堀川さんからパンを取ろうとする。と堀川さんが首をゆっくりと横に振る。

「・・・・かぶりつく」

「かぶりつくの!?なんでですか?」

「・・・・そうしないと駄目だって言われたから」

「言われたって誰に?」

堀川さんは口を動かさずに目線を奈穂さんに向けた。

「奈穂さん。あなた一体何を言ったんですか?」

俺の言葉に奈穂さんは

「私じゃないわ。私は質問に答えただけよ」

「じゃあ何て質問されたんですか?」

「西谷直哉を喜ばすにはどうしたら良いのか?と質問されたわ」

「じゃあ次に何て答えたんですか?」

「男の夢の可愛い女の子からの『あ〜ん』よ」

「何教えているんですか!!本当に堀川さん信じているじゃないですか!!それに男の夢なんですか『あ〜ん』て」

「知らないわ」

「知らないのになんで言ったんですか!」

「その方が面白いからよ。本当はキスにしようかと思ったのだけどやめたわ。感謝しなさい」

「あっ、はい。ありがとうございます。って違いますよ!なんですか面白いって!」

「面白い『(形)何かに心が惹かれ、続けて(進んで)してみたり 見たり聞いたり したい様子だ。学校が面白い(=学校へ行くのが楽しい)/おもしろくて たまらない/おもしろくも おかしくもない(=特別の主張が有るわけでもなく、それ自体としてはどうということも無い)

普通とは・・・」

「誰が面白いの意味を聞きました!?あと何処から国語辞典持ってきたんですか!?もしかして用意してたんですか?」

俺は半ば諦めながら聞く

「・・・・・・ハッ」

「笑われた!」

鼻で笑われてしまった・・・かなり凹む。

俺が凹んでいると横にいる堀川さんが

「・・・・あ〜ん」

としてきた。

「(堀川さん。今、俺そんな気分じゃないですから)」

俺の願いは届かずに堀川さんは俺にパンを近付ける。

俺は勢いでパンにかぶりつく。

「美味しいです」

パンで『あ~ん』される新鮮さで俺は少し泣きました。

俺が泣いていると竜二・昇・何時からいたのか川嶋・平永と言葉を続ける

「直哉おまえ・・」

「直哉。貴様いつの間に堀川を堀川を」

「杞沙さんにどんな手を使いやがったぁ!」

「君は今この学園の半分以上の男を敵にまわしたね」

「いや何の話!?しかも半分以上の男を敵にまわしたってなんで?」

俺の質問に答えたのは竜二だった。

「それはおまえこんな性格だが容姿はトップクラスの秋葉奈穂に隠れファンが多い堀川杞沙も手玉に取ったら半分以上は敵になるわな」

竜二が(ウンウン)と首を縦に振っている。

そんな男共を無視して堀川さんが俺に話し掛ける。

「・・・・杞沙って呼んで・・・直哉」

俺は奈穂さんに目をやる。

「私じゃないわ。これは私も予想外よ」

男共がぎゃあぎゃあ叫んでいるが無視。

俺は堀川さんに目線を変えて

「・・・・杞沙さん」

俺は少し照れながらも下の名前で呼んで

「杞沙さん。それは一体誰に教わったんですか?」

と尋ねる。

「(杞沙さんがそんな事を言うとは思わない)」

「・・・・志賀夏希」

志賀しが 夏希なつき?このクラスの人じゃないね。

だったら他の・・・

「志賀夏希ってあの志賀夏希か!?」

川嶋が妙にハイテンションで話す。

川嶋に続いて竜二・昇・平永と続く。

「ああぁー!あの志賀夏希か!あの人と堀川が知り合いだったなんて」

「ホントにな。まさしくこれは・・・」

「陰と陽だ」

その四人についていけない俺と岡崎

「有名人?」

「あ、あのぅ、その志賀さんって人一体誰なんですか?」

全く聞く耳を持っていない四人は「ウオーッ」と叫んでいる中奈穂さんが説明してくれた。意外(失礼)

「私と杞沙と一緒で美少女トップ10に入っている一人よ。陰と陽というのは陰が杞沙で暗い子でその志賀って人は陽明るいというよりも熱いわ。つまり熱血系よ」

その志賀さんって言う人も一年生だったらたった一週間で三人も一年生が美少女トップ10に入っている。早過ぎでしょと普通思うでしょうが俺はコイツらならそれが当たり前に感じてしまう。

「へえーそうなんですかぁ~いやぁご苦労様ですね」

俺は入学式からたった一週間で壊れそうです。

何故か?それは俺がこんな人達と一緒に毎日を過ごしているから



「(皆さん。俺はこれから現実逃避しますのでまた明日お会いしましょう)」

BJです。

この小説を読んで頂きありがとうございます。

感想・評価等をお待ちしております。


竜二「なあ直哉一緒に志賀夏希を見に行かね?」

直哉「・・・・・・」

竜二「直哉?」

直哉「・・・・・・」

奈穂「無駄よ」

竜二「どうしてだ?」

奈穂「今私が直哉を洗脳しているから直哉は今ただの人形よ」

竜二「そんな事をしたのか!っていうか洗脳って出来るんか?」

奈穂「出来るわ。まあ少しパァになるけどね」

竜二「パァになったら駄目だろ!?」

奈穂「冗談よ」

竜二「だよな。少し焦った。じゃあなんで直哉は動かないんだ?」

奈穂「現実逃避よ」

竜二「・・・なんで?」

奈穂「知らないわ」

竜二「知らないのかよ!」


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