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俺の学園生活  作者: BJ
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四十五日目 事情調査

 今日は俺達、B組が事情調査を受ける事になった。

 俺は俺の番が来たので教室の自分の席を立ってから教室を出た。



「……失礼します」

 俺は応接室の扉を二回ノックして断りを入れた。

 まさか、応接室に入る日が来るとはな……

 俺はそう思いながら、また「失礼します」と言って中に入りながら言った。

 応接室に入ってまず目にしたのは私服姿であろう見知らぬ人物一人だった。

 その人は「どうぞ、座ってください」と自分の前のソファーに進めた。俺がそこに座ると「わかってると思いますが……」と言って俺に警察手帳を見せた「警察の赤西です。君の名前を教えてくれるかな?」

 赤西という人物はつり目をしていて顔はニコニコと笑顔を振り撒いていた。

 多分、俺達を怖がらせない様に笑顔でいるのだろうが不気味で逆効果だった。

 俺は「西谷です」と手短に答えた。

 入って来た時には気付かなかったが応接室の扉の所に俺達B組の担任(武中)が居た。

 武中先生は不安そうに何度も腕を組み直したりしていた。

「どうかしましたか?」

 不意に赤西の声が聞こえ、俺は赤西の方に目線を変えて「いえ、なんでもありません」と答えた。

「西谷君の学校は楽しいかい?」

「程々に」

「そうか……。じゃあ西谷君は部活とかしているのかい?」

 俺達をリラックスさせる為にこんな雑談をしているのだろうが大して意味がない。俺は「してません」と答えてから「本題に入りませんか?」と先を急がせた。「こんな無意味な事は面倒くさいだけだ」と言葉には出さないが心の中で呟いた。怒らせて目をつけられても困るしな。

 赤西は俺を一秒程見つめてから「わかりました」とだけ言って机に置かれた湯呑みを口に持っていき、中身を(のど)に通した。

「……では早速。昨日の朝、何時頃に起きましたか?」

「6時頃です」

「……では、黒嶋 西佳さんという人をご存知ですか?」

「知ってるも何もクラスメートなんですから知ってます」

「それもそうですね。……では、黒嶋西佳さんが恨みを買ったとか中が悪い人か何か知りませんか?」

「知りませんし、転校して来たばかりですからそういうのはないでしょう」

「……では次に。黒嶋西佳さんが何時頃にいつも学校に来ているかとかはご存知ですか?」

「知りません。少なくとも7時50分には居ます」

「ほおー、何故です」

「その時間帯に俺が学校に来てます」

「なるほど。……では、今日はこれだけでいいです。大変参考になりました。ありがとうございます」

 警察は手帳を胸ポケットから出して何か書き加えた後、手帳を胸ポケットしまった。

 俺は立ち上がってから一礼して応接室を出ようとした時に赤西が「ああ、一つ聞き忘れてました」と言い出した。

 俺は赤西に振り返り「なんですか?」と尋ねると、赤西は相変わらずの不気味な笑顔で「最近何か変わった事とかありませんでしたか? 黒嶋西佳さんでもですが西谷君の事と両方です」。

 「特にないです」とだけ答えて「他に何か?」と尋ねた。

「いえ、それだけです。ありがとうございます」

 俺は応接室を後にした。



 クラスメートに何を聞かれたのか聞くと皆同じ様なことだった。

 そして、どこから聞いて来たのかこんな情報が届いた。

「……おかしな事に犯行後の教室には机一つ動いてなかったらしいぜ」

 「つまり、争ってないのか抵抗もなしにやられたのか黒嶋さんを刺した後で机を綺麗に並べたのかこのどれかだと俺は思う」と俺は言った。

 「そういえば……」と俺は口を開いた。

「……どうして犯人は黒嶋さんを殺さなかったんだろう?」

「は?」

 竜二にもわかる様に俺は質問という形の説明を始めた。

「まず最初に、なんで犯人は黒嶋さんを殺そうとしたんだろう?」

「そんなの決まってるだろう。何か恨みがあったんじゃねぇのか?」

「黒嶋さんは転校して来たばかりだよ? それはないと考えてもいいと思う。次になんでB組じゃなくA組の教室で犯行に及んだんだろう? わざわざA組の教室でするのは黒嶋さんを連れて来なくてはいけない」

「知るかよ。たまたま黒嶋が居たとかじゃねぇの?」

「俺はこう思うんだ。犯人はなんらかの理由でA組に居て黒嶋さんに見られたくないものを見られたとか……。それなら犯行がA組で行われたとしても合点がいく」

「見られたくないものってなんだよ」

「俺が知ってるはずないだろう。そしてここからが問題なんだ。どうして犯人は見られたくないものを見た黒嶋さんを生かしたのか」

 竜二はしばらく考えるそぶりを見せながら「わからん」と自信たっぷりに言った。

「殺すのが怖くなったとかが考えられるわ」

 奈穂さんが竜二の代わりに答えて昇に渡る。

「脅しのつもりが刺してしまったとかな」

 俺は二人に頷いて見せた。

「あと、誰かが近づいて来たのを知って途中で逃げたとかかな。多分、この三つのどれかだと思う。じゃあこれでさっきの中の一つは潰れるね」

「「は?」」

 竜二と昇の声が合わさった。

 奈穂さんは最初こそ頭を捻っていたがすぐに「なるほどね」と俺が言いたいことがわかったらしい。

「さっきの情報は何か覚えてる?」

 俺の質問に竜二と昇は上を見ながら思い出そうとしている様だ。

「「ああ、覚えてるよ」」

「机が綺麗に並んでいたという奴よ」

 と奈穂さんが言うと「わかってるって言っただろ」と竜二が睨みつける。

「その時に俺の推測はなんて言った?」

 しばらく止まる二人だったが昇が「ああ、なるほどな」と言った。ここまで言ってもわからない竜二に俺は説明を続けた。

「こんな事を言ったはずだよ? 机が綺麗に並んでいたのは争っていなかったのか抵抗もなしにいきなりやられたのか黒嶋さんを刺した後で机を並べ直したのかって」

「ああ、だから?」

 どうやらまだわからないらしい。

「そしてその後俺が出した質問に俺達が出した推測が外れてないとしたら?」

「…………?」

 ここまで来てもわからないらしい。

「俺達が出した推測は全て机を並べ直す事は出来ないんだ」

「……いや、待て出来るぞ! 確かに直哉が言った推測は無理だがこいつと昇の推測では出来ない事もないぞ」

 竜二は奈穂さん、昇と順に指差しながら言った。俺はそれに答える。

「まず奈穂さんの推測は "殺すのが怖くなった" だろ? こんな心境じゃあ冷静に机を並べ直すはずがない。すぐにそこから逃げたくなるだろ。次に昇だけど、昇の推測は "脅しのつもりが刺してしまった" だ。これも奈穂さんと同じで机を並べ直す心境じゃない」

 俺が説明しても竜二は「う~ん……」と唸っていた。

 突然昇が「あっ」と何かを思い出した様な声を出した。俺達は昇に目線を向ける。

「そういえば、A組の奴は第二音楽室で授業らしいぞ」

 とご丁寧に報告してくれた。

「……なぁ、昇。……お前B型だろ」

「? まあー、そうだが。何で今それを聞く?」

「……いや、何となく」

 あ、これを見たB型の方、すいません。怒らないでください。




 事件からたった一日でも、授業はやらないとこの先が厳しいと授業は再開になった。

 この後、事件推定時刻がわかった。

 午前6:10~午前6:50らしい。

 刑事が話しているのを生徒が聞いてこの情報を広めたらしい。

 この事件推定時刻を割り出せたのは多分、血の量だと思った。

黒嶋さんはまだ意識も戻っていないらしいが命に別状はないとの報告を俺達は担任から聞いた。





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