二十一日目 挨拶
明日は修学旅行の代休で無くて明後日から俺の母親の兄(黒嶋さん)が入学式から三週間しか経っていない学園に娘を転校さして来る。
黒嶋さんは俺にその娘の友達になれと言って、今日俺に挨拶に来る。
というのが昨日、黒嶋さんが俺を家に呼んだ理由。
(ピンポーン)
家のインターホンが聞こえ俺は玄関に向かう。
扉を開けるとそこにいたのは黒嶋さんと・・・見た事がある人物。
「「・・・・あっ!図書館にいた人!」」
「何だ?お前ら合った事あったのか?それはそれで面白い」
「・・・そんな事があったのか・・・・こっちに来て西佳に地方見物をさせて正解だったな・・・・・予想通り」
「絶対違いますよねっ!?」
「じゃあ俺はこの辺で・・・・後は若い二人でどうぞごゆっくり~」
黒嶋さんが部屋を出た。
「あ、あの、すい、ません」
「いえっ、何かもういいです。一日しか記憶にありませんが黒嶋さんらしいですし。あっ、俺は西谷直哉です」
「黒嶋西佳です」
黒嶋西佳という名前らしい。
「黒嶋さんとは全然違いますね?」
「はい、お、父さんと、は全然違い、ます。お母さ、んの血が濃、く出たんで、す」
「どうしてそんな途切れ途切れで話すの?」
「すいま、せん。ま、だ、普通に話せ、ない、んです。だからもう少し我、慢して下、さい」
「分かりました」
「あ、あの、ご趣、味は」
お見合いかっ!!とツッコミたいが抑える。
「・・・・趣味ですか?趣味は特に無いです。すみません」
「い、えっ謝る事無いで、す」
「黒嶋さんはどんな趣味を持っているんですか?」
「本、を読、む事は好き、です」
「そうなんですか。俺も本はたまに読みます」
「そう、なんですか?あのどんな物語が多、いですか?」
「ジャンルですか?ジャンルはコメディーとかファンタジーが多いですね。黒嶋さんはどんなのを?」
「私も同じ、です」
「そうなんですか!?失礼ですけど少し予想外でした」
「では、どんな物語を予想し、ていた、んですか?」
「・・・・恋愛とか?」
「た、まに読みま、すが普段は西谷、さんと同じで、す」
その後も本についての意見や感動した本。面白い本の紹介まで色々盛り上がった。
「あの今日は本についてばかりですけど楽しかったです。ありがとうございました」
「俺も楽しかったです・・・・そういえばいつの間にか途切れ途切れで話していませんね」
「すいません。私緊張したら途切れ途切れに話してしまうんです」
「じゃあ西佳帰るか?」
黒嶋さん(母兄)に黒嶋さん(娘)が頷く。
二人が車で見えなくなるまで俺は見送っていた。
「・・・・ちづ姉ー。二人とも帰りましたよー」
「・・・・・ごめんね。ありがとう直くん」
ちづ姉が家のベランダから出て来る。
「ちづ姉に苦手な人がいるなんて知りませんでした」
「お姉ちゃんにだって苦手はあるんですよ」
「母兄の方ですか?」
「うん。ごめんね。ありがとう直くん」
「別に良いです。ちづ姉の苦手が分かるという凄い利益がありましたし」
「直くんが優しいのか酷いのかわかりません」
「どっちもですよ」