十二日目 杞沙
修学旅行に初出のつもりだった志賀夏希が出てしまいました。すいません
あと更新遅れてすいません。
「ねえ、杞沙さんは本を書くの好きなの?」
俺の言葉に杞沙さんは首を横に振る。
「じゃあどうして本を書いてるの?」
「・・・書きたいから」
「好きなの?」
杞沙さんは首を横に振る。
「じゃあどうして?」
「・・・・・・・」
「あっごめん。聞いちゃいけないよね」
「・・・・昔」
「えっ!?話してくれるの?」
「・・・・昔、友達と言える人がいた」
「・・・・・・・」
「・・・・私はその人が好きだった。」
「・・・そうだったんだ」
杞沙さんがコクりと頷く
「・・・・冬の日」
ここから杞沙の冬の話。
「杞沙さん。今度海に行きますです」
私は雪の様に綺麗な白い髪をストレートで腰の高さまで伸ばしている。彼女、志賀 冬香に手を引っ張られる。
「・・・・冬なのに?」
「私はお姉ちゃんに習ったのです!遊びに季節など関係ないのです」
冬香は胸に手を置いて呟く。
「だから、行くのです。魂の歌を聞きに」
冬香は天を見つめる。
「・・・・そう」
「今、変って思いながら言いましたね?」
私は首を縦に動かす。
「・・否定して下さい。・・・まあ良いです。それでは海に行きますか?」
私は首を縦に振って承諾する。
「では、今行かん~聖地へ~」
「・・・・聖地?」
「細かい事は気にしないのです」
「ウ~・・フー・・杞沙さん。話しがあるのですが」
志賀冬香は背伸びをして一息ついてから私に真剣な表情で向き直る。
「・・・・・実はですね・・冬香は・・引越しをしますのです」
「・・・・そう」
私はそれしか言えなかった。
いつもの返事。
別にどうでもよかった訳ではない。
ただ状況が掴めなかっただけ。
私はあの時なんて声をかけたら彼女を繋ぎ止める事が出来たのだろう。
今でもその答えは見つからない。
もしかしたら答えなんて無いのかもしれない。
でも私はその答えを見つけたい。
見つけた所で過去に戻れるわけではないので過去は変わらない。
でも、私が一歩を進む為にはこの答えを捜さなくてはならない。
確証なんて無い。
ただそんな気がするだけ。
志賀冬香は翌日にはもういないらしい。
何処に行ったのかさえ分からない。
あの後から私も志賀冬香も一言しか話さなかった。
「明日にはもう居ないですから」
「・・・・そう」
また同じ返事しか出来なかった。
私は志賀冬香の昨日まで居た家の前。
私はインターホンの前に手を持っていくもすぐに手を下げる。
押す事が出来なかった。
もし押して誰も出て来なかったら私はあの時の事を信じるしかないから
でも誰かが出て来たらあの時の事は夢だと笑って志賀冬香と話せる。
私は胸を手で握り締める。
・・・・・・・・・
私はインターホンを鳴らす。
(ピンポーン)
・・・・・・・・・
(ガチャ)
扉が開いた。
私は居ないかもしれないと思っていたのに扉が開いて内心ドキッとして顔が緩む。
「・・・・冬」
「誰?」
出て来たのは知らない人。
髪は金色でツインテールをしている女の人。
見た目は私達と変わらないぐらいの若さ。
私は多少戸惑いながら尋ねる。
「・・・・冬香」
「冬香?・・・・」
彼女の口から聞きたくない言葉が私の脳に届く。
「・・・冬香は引っ越したよ」
「っ!」
私は咄嗟に耳を塞ぐ。
でも彼女の言葉は私の頭の中で何度も繰り返す。
私は最後の希望に賭けて志賀冬香に聞けなかった事を尋ねる。
「・・・・何処?」
でも彼女は答える事が出来なかった。
「・・・分からない」
「・・・・何故?」
「実は両親が離婚してさ私達は父親が冬香。母親が私で離れ離れになって父親は何にも言わないんだ。多分国は出るぜ」
「・・・・・・・」
私はまた何も言えなかった。
「・・・そうだったんだ」
俺に杞沙さんが頷く。
「・・・あれ?でもどうして本を書いているのか答えてないよね?」
「・・・・志賀冬香が本を書くのが好きだったから」
「そうなんだ。あの思ったんですけど志賀って名前・・」
杞沙さんが頷く。
「・・・・志賀夏希と姉妹」
「そっか。あれ?でもその志賀夏希さんと同い年って事は志賀冬香さんは年下?」
杞沙さんは首を横に振る。
「・・・・双子」
「なるほどね。それを機会に志賀夏希さんとは仲良くなったんだ」
杞沙さんは頷く。
「でもさあー、なんで両親の離婚で姉妹を引き離すんだ?」
竜二が疑問を口にする。
「・・・・志賀冬香は父親に世話になっていたから断れない」
「姉は母親に世話になってたのか?」
今度は昇が尋ねると杞沙さんは首を縦に振る。
「・・ごめん。杞沙さん軽い気持ちで聞いて」
「・・・・別に良い。いつか会えるかもしれない。死んだ訳ではないと思うから」
「杞沙はその人を好きだったのでしょ?」
奈穂さんに杞沙さんが頷く。
「それって・・レズって事?」
〔・・・・・・・〕
皆黙り込んで杞沙さんを見る。
「・・・・分からない」
〔・・・・・・・〕
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杞沙のキャラが変わってたらすいません