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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 咲来青
第5章

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第5話 鵲、あることを伝えに桃花を訪ねる

 桃花と咲耶が、『今日は何をして過ごすか?』ということについて、部屋で話し合っていると。

 ドアをノックする音がし、


「伊吹様、少しよろしいですか?」


 廊下から、鵲の声が聞こえて来た。


 桃花は『え?……わたし?』と、一瞬きょとんとしていたが。

 待たせては悪いと、座っていたベッドの端から立ち上がり、パタパタとドアへと近付いた。


「はいっ。何かご用ですか?」


 中から訊ねると、


「お(くつろ)ぎのところ、申し訳ございません。坊――いえ、龍生様が、伊吹様にお話があるとのことです。これから、少々お時間いただけますか?」


 などという、意外な答えが返って来た。


 桃花は驚いて、くるりと咲耶を振り返る。

 目が合うと、彼女は不審(ふしん)げに眉根を寄せた。

 そして、しばしの沈黙の後、立ち上がってドアまでやって来ると。


「鵲さん! 桃花一人に用があると、秋月は言っているのか? 私も一緒ではダメなのか?」


 咲耶の問いから数秒ほど間があったが、鵲の答えはこうだった。


「申し訳ございません。私は、『話があるので、伊吹さんを呼んで来てくれないか』と、申し付けられただけですので……。保科様もご一緒ではダメか、との判断は、私には致しかねますが……。ですが、その……『伊吹さんを』と限定なさったということは、やはり、伊吹様のみにお越しいただきたい、ということなのだと思います」



 ……まあ、それはそうだろうが……。



 咲耶は桃花に目をやり、


「どうする、桃花? 一人では不安だというなら、私もついて行ってやるが……?」


 内心、『どうして私が一緒だとダメなんだ?』と不満に思いながらも、桃花の手前、気持ちを抑え込んで訊ねる。

 桃花は少し戸惑っているようだったが、すぐに、咲耶の目をまっすぐ見返し、


「ううん、ダイジョーブ。一人でって言っても、鵲さんもいてくれるんだろうし。それに……」


 そこでクスリと微笑むと、


「咲耶ちゃんの彼氏さんだもん。他の男の人とは違うんだし、怖がっちゃ失礼だよ。……そうでしょ?」


 そう言って、可愛らしく小首をかしげた。

 咲耶はたちまち頬を染め、『そ……それは……そう、だが……』と恥ずかしそうに目をそらす。


 桃花はクスクス笑った後、


「じゃあ、ちょっと行って来るね?」


 咲耶に声を掛け、ドアを開けて部屋を出た。





「――え!? 今日一日、オレに、伊吹さんとイーリスを任せる?……それって、どーゆーことだ?」 


 龍生の部屋で、『俺の頼みを聞いてくれるな?』と言われた後。

 結太が龍生から頼まれた内容というのが、『今日一日、伊吹さんと藤島さんを、おまえに任せたいんだが』ということだったのだ。


 すぐには事情が呑み込めず、結太が訊ねると、


「だから。藤島さんが島に行くメンバーに加わるまでは、『お互い協力し合って、好きな人と一緒にいられる機会を作ろう』という約束だっただろう? 藤島さんが加わったことで、その計画は諦めるしかなくなったわけだが……」


 龍生はそこでため息をつき、しばし遠くを見つめていた。

 だが、すぐに結太に視線を戻し、ニヤリと微笑むと。


「おまえは、俺と咲耶の進展具合を、賭けのネタにしたことを……悪いと思っているんだよな? ならば、俺と咲耶が一緒にいられる機会を作るためなら、喜んで協力してくれるだろう?……なあ? そうだろう、結太?」


「う、ぐ……っ」



 ……確かに。

 親友の、〝恋人との進展具合を賭けのネタに〟するという、最低なことをしてしまったのだ。

 それくらいのこと、協力してあげて当然――のような気もする。


 桃花だけでなく、イーリスのことまで引き受けなければいけないというのが、かなり厄介(やっかい)ではあるが。


 この際、仕方あるまい。

 桃花だけ引き受けたのでは、親友の〝恋人との進展具合を賭けのネタに〟したことについての、罰にはならないのだから。(罰どころか、褒美(ほうび)になってしまう)



「わかった。おまえに協力する」


 結太はこくりとうなずいて、龍生と咲耶が二人きりになれるよう、力を貸すことを約束した。




 〝龍生と咲耶が二人きりになる〟ための一歩。

 それが、『まずは桃花を呼び出し、協力してくれるよう頼みこむ』ことだった。


 桃花なら、親友と恋人が二人きりになるための協力を、喜んでしてくれるだろう。

 協力してくれないことなど、まずあり得ないはずだ。



 それでも、もし。

 彼女がためらうようなことがあれば、結太同様、賭けに加わったことへの罪悪感――そこを、龍生は突くつもりでいた。



 しかし、やはり桃花に、わざわざ〝罪悪感につけ込む〟必要はなかった。

 部屋に連れて来られた彼女に、二人揃って頼み込むと、即座に、協力してくれることを約束してくれたのだ。


「咲耶ちゃん、昨日、秋月くんにあんな態度取ってしまったこと、すごく気にしてて……。今だってきっと、謝りたいって思ってるはずなんです。でも、咲耶ちゃん、自分から素直になるとか、苦手な人だから……。秋月くんと二人きりになれさえすれば……何か、きっかけさえあれば、素直になれると思うんです。咲耶ちゃんのためにも、是非協力させてください!」


 ――以上のように。

 ためらうどころか、協力する気満々。前のめりで話に乗ってくれた。


 龍生と結太、そして桃花は、円陣を組み(べつに、そうする必要などどこにもないのだが。雰囲気作りのつもり……だったのかもしれない)、これからの作戦について、詳しく話し合った。

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