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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第4章

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第8話 イーリス、龍生に厳重注意を受ける

「藤島さん。問題行動は控えてくれないと困るな。この島では、一応、僕が責任者ということになっているんだ。君が態度を改めてくれないようなら、一足先に、この島から出て行ってもらうことになるが……それでもいいのかい?」


 崖から戻って来たイーリスを、厳しい顔つきで見据え、龍生は開口一番(かいこういちばん)、冒頭のセリフを放った。

 イーリスは少しも動じることなく、龍生の視線を受け止めると、


「は? 問題行動って何?……アタシが、国吉を海に突き飛ばしたこと?」


 仁王立ちし、腕まで組んで言い返す。

 龍生も表情ひとつ変えず、


「君ほどふてぶてしく、『海に突き飛ばした』などと答えられる人間は、そうはいないだろうね。君は、故意に海に落としたわけではない。よって、問題行動などではないと、主張するつもりでいるのかもしれないが……。故意だろうとなかろうと関係ない。問題を起こしたことは事実だ。わざとではないにせよ、人を海に向かって――しかも、そこが()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて、不注意以外の何物でもない。それとも君は、『崖の近くだなんて知らなかった』とでも言うつもりかい? そんなはずはないよね? 僕は崖の方にも行ってみたことはあるが、見晴らしの良い場所にしかなかったはずだ。誰もが一目で、『あの先は崖だ』とわかるようなところにしかね。――そうだろう? 君は、()()()()()()()()()()()()()()()()で、()()()()()()()()()()()んだ。危険行為であることは明白だ。……僕は、何か間違ったことを言っているかな?」


 淡々と告げた後、うっすらと笑みを浮かべる。

 イーリスは悔しげに唇を噛み、しかし、今度は何も言い返さないまま、じっと龍生を見つめ続ける。


「崖から人を突き落とすなんて、運が悪ければ命を落としていたかもしれない事案だ。決して、軽く考えていいことではない。そのことは、君だって理解しているよね?」

「……ええ。わかってるわ」


 龍生の言葉に同意した後、イーリスは辛そうに視線をそらせた。



 プライドの高い彼女のことだ。龍生の前では、強気な姿勢を貫きたかったのだろう。


 しかし、〝もしも運が悪かったら、国吉を命の危険に晒していたかもしれない〟という事実は、充分彼女を苦しめ、また、後悔もさせていた。

 そこは素直に、認めざるを得なかったに違いない。



「君も充分反省しているだろうから、今回のことは不問に()すが……。いいかい、二度はないよ? 次にまた、似たようなことを仕出かそうものなら……その時は、覚悟しておいてくれ」


 龍生の忠告にうなずくことで応えると、最初の威勢はどうしたのだ、と心配したくなるほどの頼りなげな声で、『わかったわ。ごめんなさい』と返すイーリス。


 それまで、ハラハラと事の成り行きを見守っていた、その他の者達は、これでお説教は終わりかと、一斉に龍生を注視した。

 龍生はそれでも全く動じず、ただ、小さくうなずくと。


「いいだろう。藤島さんも、自分の仕出かしたことがどれだけ危険なことか、身に染みて理解したようだしね。これで、この話は仕舞いにしよう。この島での休日は、まだ始まったばかりなのだから――ここから先は、皆で思いきり楽しもうじゃないか」


 そう言って、ニコリと笑った。




 結太らが別荘に戻ると、従者三名は、夕食の支度をするためキッチンへと消え、結太らは、夕食の時間まで、各自の部屋で一休みしようということになった。


 龍生以外の三名の部屋は二階だ。

 結太も桃花もイーリスも、すっかり疲れ果てた様子で、各自の部屋へ向かった。



 結太とイーリスは個室だが、桃花は咲耶と同部屋だ。

 桃花は部屋に入ると、咲耶はまだ眠っているだろうかと思いながら、そっとベッドに近づいた。



(……わ。咲耶ちゃん、まだ眠ってる。秋月くん、『泣き疲れて眠ってしまった』って言ってたけど……よっぽど、思い切り泣いたんだろうな)



 ベッドですやすやと眠る咲耶を覗き込み、桃花は一瞬、顔を曇らせた。



 咲耶が泣くなどと……。


 スクール水着に、誰も何も言ってくれなかったことが――いや、龍生が何も言ってくれなかったことが、それほどショックだったとは。


 桃花にとって、咲耶はずっと〝強くてカッコイイ人〟だった。

 その彼女が、恋人の前では素直に大泣きし、無防備な寝顔までをも見せてしまうのだな、と思った瞬間、桃花は穏やかに微笑んだ。



(いいな……咲耶ちゃん。心を許せる恋人がいて――。私も、早くそんな人と……)



 そこまで考えて、ハッとする。――頭に結太の顔が浮かんだのだ。


「やだ。わたしったら……」


 思わず独り言を漏らすと、桃花は両手で頬を押さえた。


 顔が、燃えるように熱い。

 顔だけではない。体までもが一気に熱くなり、桃花は慌てて、自分をギュッと抱き締めた。



(やだやだやだやだっ。楠木くんのこと考えただけなのに、なんでこんなに熱くなるのっ? 胸だって、こんなにドキドキして……)



 胸に手を当てたとたん、自分がまだ、水着姿だったことを思い出す。


 早くシャワーを浴び、髪を乾かして、夕食時に備えなければ。

 そのことに思い至ると、桃花は慌てて、龍生の家の者があらかじめ用意しておいてくれたらしい、タオルとバスタオルをローチェストから取り出し、バスルームに直行した。

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