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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第4章

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第5話 国吉、気力体力使い果たし主と共に倒れ込む

 イーリスの体を受け止め切れず、背面から倒れ込んだ国吉は、したたかに頭と背中を打ち付け、『――でッ!!』という(うめ)き声を上げた。


 イーリスはというと、国吉の体に覆い被さり、泣きながら、


「バカバカッ!! 国吉のバカァッ!!――生きてたんなら、もっと早く出て来なさいよぉッ!! もぉっ、バカバカバカバカッ!! 死んじゃったかと思ったじゃないッ!! あんまり心配させないでよぉッ!! バカバカバカバカバカァーーーーーッ!!」


 やたらと『バカ』を連呼しつつ、彼の胸元を、ポカポカと叩いたりしている。

 国吉は、イーリスの下敷きになったまま、


「『心配させないで』、って……。お忘れですか、お嬢? あなたが俺を、海に突き落としたんですぜ?」


 苦笑して、彼女の頭に手を置き、軽くポンポンと叩いた。


「うぇえッ!? つっ、突き落とされたぁああッ!?」

「国吉さん、さっきもチラッとそんなこと言ってたけど……冗談だと思ってた。まさか、本当だったなんて……」


 物騒な言葉を二度も耳にし、東雲は仰天(ぎょうてん)し、鵲は蒼くなって、言葉を失っているようだった。

 イーリスは国吉の肩に両手を置き、ガバッと上半身を起こすと、


「つっ、突き落としたって言ったって、わざとじゃないでしょっ!? いつもの調子で突き飛ばしたら、その先がたまたま、海だったってだけじゃない!! へっ、変な言い方しないでよねっ。それじゃアタシが、殺そうとしたみたいに思われちゃうじゃない!」



(……『いつもの調子で突き飛ばしたら』……って……)

(普段から、そんな乱暴な扱いされてるのか、国吉さんって……?)



 イーリスの発言に、東雲と鵲は少々引いていた。

 しかし、当の国吉はと言うと、


「ハハッ!――まあ、殺意がなかったんでしたら、殺人未遂(みすい)罪は(まぬか)れますかねぇ。せいぜい、傷害致死(しょうがいちし)罪が成立する……ってところですか。クククッ」


 呑気に笑ったりしながら、イーリスの頭を、クシャクシャっと撫で回している。



 殺意がなかったとしても、笑って済ませられる話では、ないような気がするが……。


 東雲と鵲は、何とも言えない眼差しでイーリスを見つめていた。

 見つめながら、



(いくらすっげー美人で、すっげースタイル良かったとしても……殺されそーになるのは御免だな……)

(俺達の(あるじ)が坊で……本当に良かった……)



 などと、心でしみじみ噛み締めるのだった。



 一方、ボーっと二人の様子を眺めていた結太は、ハッと我に返ると、


「いっけねー! 国吉さんが無事だってわかったんなら、早く別荘に戻らねーと! オレ、龍生に知らせてくれって、伊吹さんに頼んじまったんだよ! 龍生がケーサツとかに連絡入れちまってたら大変だ! 大騒ぎになっちまう!」


 素早く(きびす)を返し、一目散(いちもくさん)に駆け出す。

 それに気付いた東雲も、


「あっ!――おいっ、待てって結太! 俺も一緒に行くぜ!」


 大声で呼び掛けると、慌てて後を追った。

 鵲は、イーリスと国吉を横目で窺い、一瞬、どうしようか迷っているようにうつむいたが、


「えっ……と……。や、やっぱり俺も行くよ! 待ってくれトラ! 結太さーーーんっ!」


 少し遅れて、二人を追い掛けて行った。



 イーリスは国吉の体にまたがったまま、顔だけを後ろに向け、皆の姿が小さくなって行くのを、しばらく無言で見つめていた。

 下敷きにされている国吉は、チラリと彼女に目をやり、深々とため息をつく。


「……で? いつまでそこにいるつもりなんです? いい加減どいてくださらないと……さすがに、俺も辛くなって来ちまうんですが」


 苦笑まじりの声に、反射的に体を前に戻したイーリスは、


「えッ? 『辛い』、って……。アタシ、そんなに重い……?」


 ()ねたように、軽く国吉を睨んだ。

 国吉は、『重いから辛い――って言ってるワケじゃありませんよ』と、再び苦笑し、そっとイーリスから視線を外す。


 イーリスは、国吉の言葉の意味がわからず、きょとんとしていたが……。

 ふいに、自分が今、どんな姿であるかを思い出し、みるみるうちに真っ赤になった。


「ば――っ!……そっ、そそそそーゆーことはっ、もっと早く言ーなさいよッ!! バカ国吉ぃッ!!」


 八つ当たり気味に国吉をなじると、イーリスは飛びすさるようにして体をどける。

 国吉は、やれやれといった感じで体を起こし、横に落ちていた、砂浜から持って来ていたバッグを引き寄せた。


「ほら。ここにお嬢の羽織(はおり)ものが入ってます。――いつまでもその格好でいちゃあ、綺麗な肌が、ボロボロに日焼けしちまいますからね。今日の夜、強烈な痛みで、ボロボロ泣く羽目になりたくないんでしたら、さっさとこれ、着ちまってください」


 照れたような、困ったような笑みを浮かべ、国吉は、持ち上げたバッグをイーリスの前にかざした。

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