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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第4章

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第2話 イーリス、ようやく落ち着きを取り戻す

 桃花に抱き寄せられ、ひたすら泣きじゃくっていたイーリスも、しばらくすると落ち着いて来たようだ。覆っていた両手を、顔からゆっくりと離した。


「ご……ごめんなさい、桃花。もう大丈夫よ。……アタシったら、取り乱しちゃって……。本当に、心配させちゃってごめんなさいね?」


 バツが悪そうに目をそらしながら、素直に謝る。

 桃花はふるふると首を振ってから、柔らかく微笑んだ。


「謝る必要なんてないよ。取り乱しちゃうほど、ショックなことがあったんでしょう?……え……と、それで……。落ち着いたなら、もう教えてくれるかな? 国吉さんと何があったの?」


 イーリスは暗い顔でうつむくと、再び両目に涙を(にじ)ませ、


「国吉……。アタシ、国吉とケンカしちゃって……。それで、あの……アタシ、つい、カッとなって……」

「……うん。『カッとなって』……?」


 温かい桃花の声に、励まされるようにして、彼女は顔を上げ、大声で言い放った。


「アタシ…っ、国吉を殺しちゃったかもしれない!! カッとなって、(がけ)から突き落としちゃったのよぉおおおーーーーーッ!!」


 想像もしていなかった答えが返って来て、結太と桃花の時が、数十秒ほど止まった。

 両目を大きく見開いたまま、二人共に固まる。



 真っ白になった頭が、再起動するまでに掛かった時間は、どのくらいだったろう?

 とにかく、数十秒から数分の空白の後、二人は同時に叫んだ。


「えぇえええーーーーーッ!? がっ、崖から突き落としたぁああああーーーーーッ!?」


 イーリスは何も言わず、ただ、コクリとうなずく。

 桃花は真っ蒼になって、両手で口元を覆った。

 結太は、イーリスの肩を両手でガシッと掴み、


「がっ、ががが崖って何だっ!? 崖なんて、どこにあるってんだッ!? そんな危険なとこ、この島にあったのかよっ!?」


 動揺しつつ問うが、イーリスは、今度は大きくうなずいて。


「この島、表側は砂浜ばかりだけど、森の中をずーっと歩いて行った先の裏側は、崖になってるみたい。崖……って言っても、そこまで高くはないんだけど……。でも、国吉を突き落としちゃってから、慌てて海を覗き込んでみたけど、国吉の姿は、もうどこにもなくて……。透明度の高い海だから、海面近くまで上がってくれば、絶対見えるはずなのに――。どこにもいないのッ!! いなかったのッ!! 何度呼んでみても、返事もなかったッ!!……アタシ……アタシ、どーしよう!? 国吉に何かあったら……死んじゃってたら、アタシ……アタシ、どーすればいーのッ!?」


 何度も大きく首を振ってから、イーリスは泣きながら桃花に抱きついた。

 桃花は無言のまま、そっと彼女の背に手を回し、落ち着かせるよう、何度もその背をさする。


 結太はゴクリと唾を飲み込み、胸元に手を当てて、数回深呼吸してから、自分が今、何をすべきかを考えた。



 イーリスは、『殺しちゃったかも』と言ってはいたが、死体を見たわけではない。

 海に上がって来た様子はないとのことだったが、まず、どのような崖かがわからない以上、正確な判断を下すことは難しい。――もしかしたら、崖のあちこちに突き出した部分があって、その陰に隠れ、見えなかっただけかもしれない――という可能性もある。



(――うん。まずはその崖に行って、実際に確かめてみなきゃな。龍生にも、知らせに走った方がいーんだろーが……国吉さんの安否がわかんねー以上、それまでの時間が惜しーぜ。国吉さんが無事なんだったら、一刻も早く崖に向かって、助けねーといけねーし)



 ……しかし、国吉が無事でいるとしても、自分だけでは助けられまい。他に、数名ほどの人手がいる。


 女性らの手を借りてもいいのだが……動揺しているイーリスと、見た目と違い、なかなかの力持ちではあるものの、小柄な桃花では、大の大人(しかも、大柄の男性)を助けるには、少々心許(こころもと)ない。


 やはりここは、冷静に対処出来て、頼りになる大人にも、一緒に行ってもらうべきだろう。

 結太は一か八か、鵲と東雲が近くにいないか、確かめてみることにした。


「おぉーーーーーいッ!! サギさんトラさぁあーーーーーんッ!! 大変だッ、大事件だぁああーーーーーッ!! たーーーすーーーけーーーてーーーくーーーれぇえええーーーーーッ!!」


 これ以上の大声は出せない――というくらい頑張って、彼らに助けを求める。

 ……が、数秒待っても、辺りはシンとしたままだ。



(……ま、そりゃそーか。二人がどっかに行っちまってから、どんだけ経ってると思ってんだ? この辺にまだいるワケねー……だ、ろ……?)



「……んん?」


 誰かの声が聞こえたような気がして、結太は辺りを見回した。

 すると、思ったより近い場所から、


「どーしたぁーーーっ、結太ぁあッ!? 大事件ってなぁー、どーゆーこったぁあーーーッ!?」

「また大怪我でもしたのかーーーいっ!? 結太さぁあああーーーーーんッ!?」


 聞き覚えのある声が、結太らの耳に届き……。

 数百メートルほど離れたところにある草むらから、二人がひょっこりと姿を現わした。

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