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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第1章

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第4話 結太の片恋相手は小動物的癒し系少女

 結太の想い人である伊吹桃花は、二年に進級してから同じクラスになった、小柄で華奢きゃしゃな、とても愛らしい少女だ。

 動物に例えるなら、いやし系の小動物。もっと詳しい例をげれば、愛玩犬あいがんけんの代表格とも言える、トイプードル――といったところだろうか。


 結太などは、小首をかしげた彼女に、うるんだ瞳でじぃっと見つめられただけで、心臓がドックンと跳ね上がり、たちまち赤面してしまうし、彼女のほわんとした、心が温かくなるような笑顔を見るだけで、胸が締め付けられてしまうほどだ。



 もし、人間に〝理性〟というものが存在していなかったならば。

 桃花の可愛らしさを感じるたび、結太はギュギュギュゥゥッと、力の限り抱き締めてしまっていたに違いない。



 性格は、どちらかと言うと消極的。

 いつも、幼馴染で大親友の咲耶の背にかばわれ、ちぢこまっているような印象を受ける。(実際、桃花の側には、常に咲耶がいた。彼女はクラスが違っていても、学校の行き帰りも、昼休みも、龍生と付き合うようになってからも、可能な限り、桃花と行動を共にしていた)


 咲耶の〝桃花愛〟が強過ぎるため、龍生と恋人同士になる以前は、陰で『もしかして、GL(ガールズラブ)?』『ひそかに付き合ってる?』などという噂すら、立てられていたくらいだった。



 龍生は今でもそれを気にしていて、『俺の最大のライバルは、伊吹さんだと思っている』と、つい最近も、真面目な顔で語っていた。


「ライバルって、なんだよそれ? 保科さんは、おまえと付き合ってんのにか?」


 思わず笑ってしまったら、


「笑い事ではないぞ。俺は本気で言っているんだ。……伊吹さんは、他の男共などより、遥かに手強てごわい」


 龍生はニコリともせず、呆れるほど真剣な口調で返して来た。



 どこまで本気に受け取ればいいのか、正直、結太にはわからなかったが……。

 女友達に溺愛できあいされてしまうほど、魅力的な人と言うことだろうと、納得することにした。



 とにもかくにも。

 伊吹桃花は、身近な人間の庇護欲ひごよくを、無性にき立ててしまうような、外見内面共に愛らしい――けれど、意外としんはしっかりしている少女なのだ。



 その〝想い人〟である伊吹桃花に、何故、結太は避けられてしまっているのか?

 発端ほったんとなる出来事は、イーリスが転校して来た日に起こった。




 その日の放課後。

 結太は、桃花に告白する予定だった。


 ……いや。

 本当は数日前にも、告白するつもりで、桃花を屋上に呼び出した(正確に言えば、龍生が呼び出してくれた)のだが。

 多少の手違い(?)があり、結局その日は、告白出来ずに終わった。


 龍生にも咲耶にも(特に咲耶にだが)、告白出来なかったことをひどく責められた。

 結太としては、少し間を置き、気持ちを落ち着かせてから、改めて告白しようと思っていたのだが、二人にかされ、週明けの月曜日に、再び告白することを約束させられてしまった。



 しかし、突然転校して来たイーリスにより、その約束は果たせずに終わる。

 放課後、結太が桃花に声を掛けようとしたら、先にイーリスが声を掛けて来たのだ。


 彼女はいきなり、『新居の整理を手伝ってほしい』と頼んで来た。

 突然過ぎる話だったので、当然断ったのだが、イーリスは引き下がろうとせず、『この街に引っ越して来たばかりで、知り合いがいない。他に頼める人がいない』のだと主張し、半ば強引に、結太を連行して行った。



 説明し忘れていたが、イーリスが転校して来る少し前に、結太は彼女と知り合っている。(――と言っても、結太が怪我で入院していた時、屋上で出会い、ほんの少しだけ、言葉を交わした程度の知り合いだったが)


 その、たった一度会ったきり、十数分ほど言葉を交わしたきりの少女が、自分の通う高校に転校して来るなど、その時は夢にも思っていなかった。

 その上、彼女の新居だというところまで連れて行かれてみれば、そこは結太の住むマンションで……更に驚くことに、自分のうちの隣だったのだ。


 衝撃を隠し切れない結太を、イーリスはこれまた強引に、部屋に引き入れようとした。

 桃花に誤解されるようなことはしたくないと、しばらくは、部屋の前で踏ん張っていたのだが。


 ごうやしたイーリスが、突如として、玄関のドアを全開にし、


「これでいーでしょ? アタシが結太に襲い掛かろうとしたって、大声上げられたら終わりよ」


 などと、まるで男の台詞セリフのようなことを言い放った。


 それで一気に緊張がほぐれた結太は、『女子にそこまでやられて断んのも、逆にカッコわりぃーか』と、中に入ってしまい……。


 哀れ、結太の受難は、そこから始まったのだった。

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