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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第6章

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第7話 結太、イーリスに龍生と咲耶の居場所を告げる

 そろそろ限界だろう。

 もうすぐ日も沈む。これ以上、隠し続けることは不可能だ。


 そう判断した結太は、イーリスに本当のことを告げた。

 龍生と咲耶は、秋月家所有のもうひとつの島へ行っていること。

 そして、三日間は戻って来ないことを。


 事実を知らされたイーリスは、目をまん丸く見開き、口をパカッと開けて、しばらく固まっていたのだが。

 フリーズ解除したとたん、


「ええええーーーーーッ!? 咲耶と秋月くん、三日も戻って来ないの!? しかも、もうひとつの島で、二人っきりで過ごすってゆーの!?……ええええええーーーーーーーッ!? 何よそれっ、何なのよそれっ!? 二人だけずっるーーーーーいッ!! アタシも、もうひとつの島に行ってみたかったぁああああ~~~~~っ」


 ()ねたように口をとがらせ、体をクネクネと左右に揺する。

 レースのカーディガンを羽織っただけの、水着姿のイーリスのたわわな胸が弾んで、結太は慌てて目を逸らした。

 逸らしながら、


「しょ、しょーがねーだろっ。龍生と保科さんは恋人どーしだけど、オレ達と一緒にいたら、二人っきりになれる時がねーってんだから。それに、こーなったのは――イーリスのせい、ってとこもあるんだからな?」


 そう告げた後、イーリスがやたらと〝二人の進展具合〟を知りたがっていたことに、龍生がウンザリしていたこと、そして、進展具合を賭けのネタにされ、少々腹を立てていたのだと説明した。


「だから、『賭けのネタにしたことを悪いと思ってるなら、協力してくれるよな?』って感じで言われて、断れなかったんだよ。……まあ、オレは……そんなことがなくても、龍生から『二人きりになりたいから、協力してくれ』って、素直に頼まれたら、いつでも協力する気でいたけどさ」



 もともと、島に来るメンバーにイーリスが加わっていなければ、そういう約束だったのだ。結太としては、断る理由などない。


 ただ、イーリスの面倒を見なければいけない分、自分の方は、桃花と二人きりになれる機会があまりなさそう……というのが、残念なところではあったが。



「え~っ? じゃあ、何? 全部アタシのせいだって言いたいの? アタシさえ、二人の進展具合を知ろうとしなければ、ずーっと面片会のメンバー五人で、行動出来てたワケ?」


 イーリスは面白くなさそうに、結太をじとっと見つめる。


「えっ?……いや、それは……。その……何とも言えねー、けど……」



 イーリスのことがなくても、龍生は咲耶と二人きりになろうとしただろう。

 自分だって、桃花と二人きりになれるチャンスがあったなら、迷うことなくそちらを取るだろうことは、わかりきっている。


 イーリスの望む、『ずーっと、面片会のメンバー五人で』行動出来ていた確率は、正直なところ、かなり低かったに違いない。



「やっぱり。……結局、アタシは邪魔者なのよね。アタシさえいなければ、秋月くんは、咲耶とずっと一緒にいられたろうし、結太は、桃花とずっと一緒にいられたのよね」


 イーリスの言葉に、桃花は『えっ?』と驚き、結太は『おっ、おい!』と焦った。

 しかし、二人の様子に全く気付くことなく、イーリスは一人で話し続ける。


「そーよ。最初っから、アタシは邪魔者でしかなかったのよ。アタシさえいなければ、秋月くんも結太もうまく行ってた。アタシが……アタシさえ、一緒に行きたいなんて思わなければ……言わなければ……」


 イーリスの声が、徐々に震えて……目には、たっぷりと涙が浮んで来た。

 結太と桃花が共にギョッとし、フォローの言葉を掛けようとした瞬間。堤防が決壊したかのように、イーリスの両目から、大粒の涙がポロポロポロポロ、次々にこぼれ落ちて来た。


「おっ、おい! べつに、邪魔者だなんて言ってねーだろ?」

「そっ、そーですよ! 邪魔だなんて思ってません! 思ってませんから……っ」


 何とかなだめようと必死になるが、イーリスはふるふると首を振る。


「いーのよ。何も言わなくたって、二人が内心ではそー思ってるんだって、わかってるもの。ずっと感じてたもの。……しょせん、アタシは邪魔者なのよ。どーせ、誰からも必要となんかされてないんだわ。アタシなんて……アタシが死んだって、心から悲しんでくれる人なんかいない。アタシは……アタシは……っ、どーせ独りぼっちなんだからッ!!」


 思いっきり叫ぶと、イーリスは、エントランス横の階段を駆け上がって行った。


「あっ、おい! イーリスっ!?」

「イーリスさんっ!」


 二人もとっさに後を追い、階段を駆け上る。

 そしてイーリスの部屋の前に着くと、閉じられたドアを何度も叩き、


「おいっ、イーリス! 勝手に思い込んでんじゃねーよッ! 誰もおまえのこと、邪魔だなんて思ってねーし、必要としてなくもねーって! だから――っ」


「嘘よッ!! 結太だって、ずっと邪魔だって思ってたクセに! 白々(しらじら)しい嘘つかないで! アタシが――っ、アタシさえいなければ、結太は好きな人とずっと一緒に行動出来てたんだもの! 邪魔だと思ってなかったなんて、嘘に決まってるじゃない! 適当なこと言わないでよッ!!」


「――っ!……だ、だからそれは――っ」


 思わず、隣にいる桃花に視線を走らせる。

 彼女は心配そうにドアの向こうを見つめていて、イーリスの『アタシさえいなければ、結太は好きな人とずっと一緒に行動出来てた』という部分を、気に留める余裕もなかったようだ。


 ホッとしつつ、再び結太はドアを叩き、


「マジで邪魔だなんて思ってねーって!……確かに、おまえはいろいろ、困ったところのあるヤツだけど……たまに、ムカッとする時もあるけど。でも、なんだかんだ言って、一緒にいると楽しーしさ。騒々(そうぞう)しーけど、面白(おもしれ)ぇーヤツだって思ってるよ。だから、なあ――、いじけてないで出て来いって!」


 必死に訴えるが、イーリスは、何の反応も示さなくなってしまった。

 ほとほと困り果てていると、


「楠木くん。わたし、国吉さん呼んで来る。今は、キッチンにいるはずだよね?」


 従者ら三名は、別荘に戻った早々、一階の大浴場で軽くシャワーを浴び、その後、夕食の支度をすると言っていた。

 そのはずだと結太がうなずくと、桃花もうなずき返し、


「じゃあ、急いで呼んで来る!」


 そう言い置いて、廊下をパタパタと駆けて行った。

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