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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第6章

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第6話 龍生、咲耶の水着姿を褒めちぎる

 もの凄い勢いで駆けて来た咲耶は、龍生の一歩手前でストップを掛け、


「わっ、わわわ笑うなよっ?……私だって、こんな水着着たくなかったんだっ。でも、イーリスが……イーリスが今朝、プレゼントして……くれて……。中を確かめないまま、持って来てしまったから、あの……っ。こ、ここここんなっ、みょっ、妙なデザインのものっ、だと……思わなく……て……」


 片手でもう片方の腕を抱き、真っ赤な顔で、視線を逸らしてたたずむ。


 ただでさえ豊かな胸が、片手でギュウっと抱かれた、もう片方の腕のせいで、更に強調されてしまっているが、本人は気付いていないのだろう。

 慌ててそこから目を逸らしても、今度は、大胆にカットされた両脇から覗く、真っ白で柔らかそうだが、キュッとくびれた脇腹が目に入ってしまい……。


 さすがの龍生もこれには堪らず、思わずゴクリと喉を鳴らした。


 龍生の視線を感じ、恥ずかしかったのか。それとも、ただ沈黙が恐ろしいのか。

 咲耶はしきりと『笑うなよ?』『似合ってないのはわかっているんだ』『わかってるから笑うな!』などと、言葉を繰り出している。


 笑うどころではない。

 そんな余裕など、今の龍生には、一ミリもありはしなかった。



 龍生は咲耶の肩に両手を置き、


「似合っている! 恐ろしいほど魅力的だ、咲耶! まるで、君のために仕立てたかのようにピッタリだ! 抜群のプロポーションの君にしか似合わない、いや、君にしか着こなせないデザインじゃないか! 海辺のビーナス、渚の人魚姫(マーメイド)などという言葉は、君にこそ相応(ふさわ)しい! いったい、何を恥ずかしがる必要がある?」


 彼にしては珍しく、うわずった声で褒めちぎる。

 もともと、咲耶に対してはストレートな物言いをする彼ではあるが、いつにもまして大袈裟な言葉のオンパレードに、咲耶の顔は、ますます真っ赤に染まって行った。


「わ……わかった。わかった、から……。もう、何も言わないでくれ……」


 咲耶は小さな声で訴えると、胸元と腹部を隠すように、自分の体を抱き締める。

 龍生はハッと我に返り、真顔で口をつぐんだ。



 ――不味(まず)い。

 咲耶の水着姿の、想像以上の破壊力に、つい興奮してしまった。



 これ以上褒めると、彼女の恥ずかしさは頂点に達し、


『やっぱり海に行くのはやめる! 元の服に着替えて来る!』


 とでも言い出しかねない。


 龍生は慌てて咲耶の片手をつかみ、


「では、表に用意してあるビーチパラソルを持って、海に行こう! ここにあるバッグに、必要な物は全て揃えてある。何の問題もない。さあ、行くぞ咲耶!」


 彼女の返事も聞かず、強引に引っ張って、ログハウスの入り口に向かった。





「うっわ。やっば~い。咲耶から、鬼のようにメッセが届いてたわ。通話着信も、何回かあったみたい。……どうやら、アタシがあげた水着のデザインが、気に入らなかったようね。……う~ん? おっかしいわねぇ? 最っ高に素敵な、咲耶に似合いそうな水着を選んだつもりだったんだけど。どこが気に入らなかったのかしら?」


 海から別荘に戻り、エントランスで一息ついていた時だった。

 バッグからスマホを取り出し、画面に目を落としたイーリスは、困惑顔で首をかしげた。


 エントランス脇の長椅子(座って靴を履く人のために用意されているらしい)に、ぐったりと腰掛けていた結太と桃花は、〝咲耶〟と耳に入ったとたん、何事かと顔を上げる。


「鬼のようなメッセ? 着信も何回もあっただって?……そりゃ、そーとー怒ってんなぁ。水着のデザインが気に入らなかったみてー……って、どんな水着を贈ったんだよ? よっぽど、趣味(わり)ぃーデザインだったんじゃねーの?」


 苦笑して結太が訊ねると、イーリスはムッとしたように口をとがらせ、


「失礼ね! このアタシが、趣味の悪い水着なんて、プレゼントするワケないでしょ!?――ねえ、桃花? 桃花ならわかってくれるわよね? アタシが選んであげた水着、桃花にとっても似合ってたでしょ? 気に入ってくれたわよね?」


 桃花に視線を移し、援護を要求するかのように訊ねた。

 桃花はこくこくと首を振り、肯定の意を示す。満足げにうなずき返すと、再び結太を見やり、


「ほーら。桃花だって、アタシのセンスの良さを保証してくれてるわ。……まさか結太……桃花のあの水着、似合わなかった……って思ってるワケじゃないでしょーね?」


 意地悪く訊ねるイーリスに、結太はギョッとし、桃花は不安そうに結太に目をやり、じっと見つめる。


「ば――ッ!……んなこと、思ってるワケねーだろッ!? メチャクチャ可愛かったし、似合ってたっつーの! 可愛過ぎて、直視出来ねーくれーだったっつーんだ! 当たりめーだろッ!?」


 とっさに本音を言い返してしまい、結太は『ヤベっ』と思って桃花をチラ見した。

 桃花は両手を膝にのせ、真っ赤な顔でうつむいている。


 そんな二人を横目に、イーリスは勝ち誇ったように胸を張り、うんうんとうなずいていたのだが。


「――あら? また着信?」


 右手に握られているスマホに目を落とし、たった今送られて来たメッセを確認すると、イーリスはフッと微笑んだ。


「咲耶からだわ。〝前言撤回(てっかい)〟ですって。〝最高の水着をありがとう〟、だそうよ。……フフッ。二人きりで、楽しい時を過ごせたみたいね。……でも、ホントにあの二人、今日はどこに行ってるのかしら? 裏側は崖になってるから、遊べそうな場所なんて、表側にしかないはずなのに、どこにも姿は見えなかったし。不思議よねぇ……表側にも、死角になる場所があるのかしら? 大きな岩がところどころあったりするけど、遊んでて気付かないほどの大きさじゃないし……。他は、見渡す限り砂浜だものねぇ?」


 腕を組み、しきりに不思議がっているイーリスを見て、結太と桃花は思い出した。

 そう言えば、龍生と咲耶が別の島に行っていることを、イーリスには内緒にしていたんだっけ……ということを。

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