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両片想いでラブコメで!~想い人一筋なのに、隣人の金髪碧眼美少女がやたらとちょっかいかけてくるんだが?~  作者: 金谷羽菜
第6章

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第4話 撮影を終えた一同、疲れ果ててへたり込む

 国吉にお姫様抱っこされ、恥ずかしそうに写真に納まっているイーリスは、結太と桃花には、とても幸せそうに見えた。


 これ自体は、ほんの小さな出来事かもしれない。

 それでも、この小さな出来事が、彼女にとって、良い思い出になればいいなと、二人は心から願っていた。



 その後も、結太と桃花であったり、結太と桃花とイーリスであったり、東雲と鵲であったり――様々な組み合わせで、たくさんの写真を撮った。

 最後の一枚を取り終わり、国吉に、


「皆さん、お疲れ様でした! 撮影、すべて終了です!」


 ニッコリ笑って声を掛けられた瞬間、結太らは一気に脱力し、ヘナヘナとその場にへたり込む。


「あ~、疲れたぁ~~~」

「いったい、どんだけ撮ったんだよ……。あんなに青かった空が、オレンジ色になっちまってんじゃねーか……」


 鵲と東雲は、砂浜に両手両膝を突き、ぐったりしている。


 男性二名へのリクエストは、〝ビーチフラッグス(浜辺でうつぶせになり、合図と共に、反対側に差してあるフラッグを奪い合うスポーツ)をしているところ〟や、〝クロールで競い合うところ〟など、特に体力を必要とするシーンの撮影が多かった。ヘトヘトになるのも当然だろう。


 結太は、彼らほど体力を使うシーンはなかった。

 しかし、〝泳げない少女に、少年が手を引いて、泳ぎを教えてあげているところ〟や、〝少女の背中に少年がサンオイル(または日焼け止め)を塗ってあげているところ〟など、嬉し恥ずかしのシーンがかなりあったので、精神的に疲れてしまっていた。

 そしてそれは、桃花も同様だった。


 一人、特に疲れた様子も見せず、ホクホク顔で立っていたのは、イーリスくらいだった。

 被写体になることが少なかったせいもあるだろうが、それにしても元気だなと、結太と桃花は、やや呆れ顔で彼女を眺めていた。



(あれで、ホントに余命僅かだってーのか?……やっぱ、騙されてんじゃねーのかな、オレ達……?)



 そんな疑惑すら浮かんで来てしまう結太だったが、そのたびに、『いや。いくらなんでも、そんな質の悪い嘘をつくはずがない』と、己に言い聞かせるのだった。



「それでは、別荘に戻りましょうか。――夕食はどうしましょうかね? 今からですと、凝った料理は出来そうにありませんが……」

「オレ……カップラーメンとかがあったら、そんなんでいーや……。なんか、あんま食えそーもねーし……」


 国吉の問いに、結太は弱々しい声で答える。

 東雲と鵲、そして桃花も、その意見に賛同した。


「今日は、軽いもので済ませる――ということでよろしいんですね? さすがに、カップラーメンでは適当過ぎますから、パンとサラダとスープ、こんな感じの御夕食でよろしいですか?」


 再び国吉に訊ねられ、皆は『はーい』『いいでーす』と即答する。

 そうして一行は、荷物があるものは荷物を持ち、別荘へと戻って行った。




 ――一方、秋月家所有のもうひとつの島にいる、龍生と咲耶はどうなっただろうか。

 時間を少々巻き戻し、様子を探ってみよう。



 龍生から、『〝大人のキス〟より先に進む覚悟があるなら、知らせに来てくれ』というようなことを言われてしまった咲耶は、ログハウスの前でうずくまり、十数分ほど動けずにいた。


 なかなか、覚悟を決めることが出来なかったからだが――。


 それからまた、数分経った頃。

 咲耶はすっくと立ち上がり、ログハウスまで歩いて行くと、えいやっとドアを開けた。


 左側に、緩くカーブを描いた階段が見えた。どうやら、ロフトへと続いているらしい。

 ロフトまであるのかと思いながら、少し先に進むと、太い丸太を縦に切っただけのような、長くてガッシリとしたテーブルが置かれていた。そこに備え付けられた椅子に、龍生は、腕と足を組んで座っている。


 咲耶はまっすぐ彼の前まで歩いて行くと、仁王立ちして言い放った。


「海だ! まずは海に行くぞ!」


 返事をしに来てくれたのかと思っていた龍生は、その台詞を聞くと、『え……?』とつぶやき、呆然と咲耶を見返す。

 咲耶は『とにかく海だ! 海で泳ぐんだ!』と重ねて言った後、


「水着に着替えて来る! おまえも用意しておけ!」


 と告げ、キョロキョロと周囲を見回した。

 そして、洗面所のドアらしきものを見つけると、そこへ駆け込んで行ってドアを閉めた。



(うぅ……。そんなにすぐ、答えなんか出せるかバカヤロウっ! あ、あんなきっ、キス……の先なんて、考えるのも恥ずかしいわッ!……とにかく、時間を(かせ)がなくては。海で泳いで気を(まぎ)らわせて……こ、答えを出すのはそれからだッ!!)



 そんなことを思いながら、今朝、イーリスが照れ臭そうに渡してくれた、水着の入った小箱を、ビーチバッグから取り出した。



(イーリスは、どんな水着を選んでくれたんだ? ビキニではないと言っていたが……)



 ドキドキしながら小箱を開けると、黒色の水着が入っていた。『ふ~ん。黒のワンピースか』と、たたまれていた水着を広げたとたん、


「な――っ、……な、なんだこりゃぁああああーーーーーッ!?」


 咲耶は大声を上げた後、絶句し――。

 水着を持つ両手は、何故かワナワナと震えていた。

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