ヤクキメ和人、イッきまぁ〜す
※『それも恋1』の冒頭部にて、二週間前から三週間前に修正しました。
※『それも恋3』にて、一ノ瀬瑠璃の一人称を『私』から『アタシ』に変更しました。
しばらく更新頻度が落ちるかもです。
明梨に一発ぶちかますと心のメモに記した俺は、教室に向かおうとしている。
未だに俺の腕に抱きついてるため、歩きづらい事この上ない。
「かずくん、私だけを見てね」
「さっきからそれしか言わないな」
これで四度目のセリフ。botかな?
「明梨、そろそろ離れてくれ。流石にこの状態で教室に入る度胸は、俺にはない」
だが、明梨は離す素振りも見せずにべったり。お陰で俺の汗もべっとり。
仕方なく俺はこのまま二年A組に入る。
瞬間、こっちを見ながらヒソヒソ。ざわざわ。
そりゃそうだろう。数日休んでた二人がカップルのようにイチャイチャしながら来れば、誰だって驚くだろう。
だが意外にも、すぐに俺たちの話題は終わる。理由は後ろの人物にあった。
一ノ瀬さんがいた。鼻をフガフガ鳴らしながら俺の横を通り過ぎる。若干顔も赤い。
そして一ノ瀬さんは、
「おはよう!みんな!」
と挨拶すると、近くにいる人は挨拶を返す。窓側の席の人も手を振って返してる。こんな日常は、もう何度もみた。でも今日は少しだけ違った。
一ノ瀬さんは、顔はクラスメイトに向けてるが目だけをこちらに。しかも俺の下半身に。
呼吸も荒く、そのまま倒れそうな勢いだ。
そんな様子をクラスメイトは見逃すはずもなく、保健室に連行された。バイバイ!一ノ瀬さん。
だが、一ノ瀬さんを見送ったのは間違いだったかもしれない。腕は圧迫され、制服に穴が開くんじゃないかと思うぐらい爪を立てられている。本当に勘弁してほしい。
「い、行くぞ明梨」
「どこ行くの?こっちだよ」
そう言って、俺も最後列の窓側に連行。俺が知らない間に最前列からジョブチェンジしたか?
そしてさも当然のように、隣に座る明梨。
話せる人が近くにいるのは嬉しいが、コイツ何考えてるか分からないから、怖いんだよなあ。
「そういえば、一時限目ってなに?」
「現国だったはずよ」
確か担当はヨボヨボ爺さんだったはず。寝てもバレないか。
とはいえ、教科書類は準備した方がいいだろう。
そう思い、俺は自分のロッカーへ向かう。
「あれ?鍵を閉め忘れたのかな?」
扉が若干歪んでるのが気になるが、そのまま開ける。
そこには、水?で濡れてシワシワになった教科書とノート。予備に置いていた体操服は、ベトベトになっていて、シミもそこら中に。
それらがロッカー内で散乱していた。
イジメかな?
△▽△▽△▽
昼休み。俺は購買で昼食を買いに行こうとした時に、
「あ、かずくん。かずくんのお弁当作ってきたから一緒に食べない?」
「マジ!?ありがとう!」
今まで、明梨は俺に晩御飯を作ってくれることはあったが、お弁当は初めてだ。
明梨の料理は美味いからな。たのしみだ。
そうして、明梨と食べようとした時。
『二年A組、九重和人君。至急生徒会室に来てください』
俺、なんかしたのかなあ?
廊下をテクテク。階段降りてまたテクテク。
そうやって着いたのは、生徒会室。正直、入りたくないがここまで来たんだ。
仕方ない、覚悟を決めるんだ俺!
ノックして入ると、
「あ、お兄ちゃん!遅いよ!」
そこにいたのは小乃詠ちゃんだった。他の人は見当たらない。
「小乃詠ちゃんも、呼び出しされたの?」
「違うよ、私は呼び出す方だから」
「ん?もしかして生徒会の人だったの?」
「そうだけど・・・。あれ言ってなかったっけ」
初耳だ。それより用件は何だろうか。お腹が空いてるから、早くして欲しいんだが。
「お兄ちゃんはそこに座って。お茶の用意するから」
「ああ、分かった」
示されたのは座り心地の良さそうなソファー。遠慮せず真ん中に座ったほうがいいのか?
しばらくして、小乃詠ちゃんはお茶を持ってきて俺の隣へ。
「あの、小乃詠ちゃん?そこは向かい側に座るのでは?」
「え〜、別にいいじゃん。こっちの方がはなしやすいかもでしょ?」
そう言ってさらに距離を詰める小乃詠ちゃん。
お互いが触れるか触れないかの距離。不思議と小乃詠のフローラルの香りがする。
でも、興奮はしない。以前の俺だったら鼻息を荒くしたかもしれないが、小乃詠ちゃんのA◯フィールドが破壊されたと知ってから、もうそんな目で見れない。
「そうか、それより先に言いたいことがあるんだけどさ」
「ん〜?何?」
朝は言うタイミングがなかったからな。なるだけ早めに言ったほうがいいだろう。
「昨日のことは、その、ごめん。ついカッとなってさ。本当は邪魔だとか思ってないから・・・」
「あ、そのことね。全然謝らなくてもいいのに。それより私の方もごめんね」
よかった。気にしてないようだ。
「それより、このお茶飲んでみてよ。最初にお兄ちゃんに飲んで欲しくてね」
毒見かな?
「ちょっと苦いけどおいしいよ」
「よかった。これお家でも使おうかな」
お世辞で『少し』って言ったけど実際はかなり苦い。というより不味い。
「それで小乃詠ちゃん。なんか、俺を呼び出して、どう、したの?」
なんか急に眠気が。おかしいな。ついさっきまで全然そんなことはなかったのに。
「お兄ちゃん眠いの?じゃあおいで。無理は良くないよ」
小乃詠ちゃんの太もも柔らけぇ。昼休みはまだあるし、ちょっとお昼寝をしちゃおうかな。
「コレ効き目がすごいなぁ。お兄ちゃん、いっぱい楽しもうね」
若干短いですが、一旦区切ります。
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