祖母(妖怪)
菓子はうんめぇ。異論は認めん。
うちのババァはお小遣いが少ない。許されざることだが、あのババァには逆らえない。よって俺は孫であることを最大利用して妖怪に甘えに行くぜ。
「ばぁちゃん。お菓子あるけ?」
「おぉーよく来たね。」
まるで帰省を喜ぶみたいな言い方だが一緒に住んでいる。ちょっとボケが入ってるのだこの妖怪は。
「ほれ。これでもお食べ。」
優しくお菓子を出してくれる。ババァとは大違いだぜ。
だから俺は妖怪のことが大好きだ。
「ありがとうね!ばぁちゃん。」
そう言っておかしをすぐさま開けて食べ始める。そして妖怪は横からオセロを取り出して
「さぁおかしをあげたんだ。これの相手をしてもらうよ。」
妖怪はオセロを気にいってるようだ。俺も嫌いじゃあない。そしてお菓子を食べながらオセロをするこの時間は好きなのだ。
「お!良いぜ。だがまた変なルール付け加えるなよ?」
「わしはそんなことしませんよ。」
ジトーと疑いの目を向けたが何事もなかった用にオセロを開始する。
まずは何事もなく順調に進んだ。お互い似た数を取り合っている。戦況はやや俺よりかなーと言ったところだ。
「おやおや。お前さん強くなったじゃあないか。さぁてわしゃも本気を出すかね。」
「ん?んんーーー」
本気出す宣言を適当に受け流して妖怪の順番をまつ。すると、この妖怪が場面からなんとオセロを隠しながら取ったのだ!
「おいいいい。ばぁちゃん??オセロさ一度出したら撮れないんだぞ!!!!」
「はて。なんのことかな?証拠でもあるのかい。え?出してみ?」
こ、この妖怪いやらしく立ち回りやがって。
「いやいやバッチリ見えてたわ!」
「お主わしゃを疑う気か!いやらしい子に育ったのぉ。全く誰に似たんじゃが。」
あくまで無実だと言い張る妖怪に痺れを切らして問い詰めるのを辞める。この妖怪め言わせておけば頭に乗りやがって。こっちだって容赦しねぇからな。
今までは割と手加減していたがここから本気を出して妖怪を追い込んでいく。そして戦況がドンドン俺へと向いてくる。
すると妖怪がまた変なルールを付け加える。
「おやおや、ほぼお前さんの色で埋め尽くされてるねぇ。わしゃ負けたくないからこの角はわしのものじゃよ。」
こいつ。遂にルールを度外視してきやがった。圧倒的に有利に立ち俺を負かしにきてるじゃあねぇか。
「あ、ばぁちゃんがそこに置いたことでばぁちゃんが有利になったからこの角は俺のものだね。」
「いやいやお前さん。何をいってるんだ?ルールを守らないと楽しくないぞ。」
おいおい。どの口がいってるんだ?ルールを度外視して角を強制的に取ったやべぇやつがやべぇこといってるぜ。
「ばぁちゃんだってルール破ったじゃんか!」
「こりゃ!年寄りには優しくしないかい。全くそんな子に育てた覚えはないよ!」
このクソ妖怪言ってることがめちゃくちゃじゃねぇか!
「あぁーここも邪魔だね。私の色で良いかね。よし変えようと。」
そのあともめちゃくちゃなルールが加わり俺の色がどんどん少なくなって遂には姿を消してしまった。
「と、途中まで勝ってたのに。」
「ほほほ。お前さんが私に勝つ日はまだまだ来ないよう
じゃな。」
高らかに妖怪が笑ってる。謎の敗北感を味わいながら妖怪の部屋を後にする。そしてその自分の部屋へ向かう時に心から思ったことがある。
この妖怪は長生きするなと。
祖母(妖怪)です。
ズル賢いです。(めちゃくちゃなだけかもしれないす。)