クソ猫
気づけば僕の部屋にクソ猫が入っていた。いつ来たのだろう。
僕は携帯ゲームの途中でかまうことが出来ない。だがこいつは僕の布団へずけずけとあがってくる。そして自分に構えと言わんばかりに「ニャー」と鳴く。
「何してんだよお前。速くリビングへ行ってお母さんから餌でも貰え。」
クソ猫に伝わるはずもなくずっと居座る。こいつがくるとネコノミが布団へばら撒かれ自分も噛まれてしまうのだ。だからこいつを部屋にはいれたくはない。しかし、いつの間か入ってる。無理やりだすのも気が引けてそのまま放置する。
携帯ゲームをしてるとじーーーと手をのぞいている。指を見つめてるようだ。指が動いてる様子が面白くおもちゃにでも見えたのだろう。虫を叩くみたいに手を攻撃してくる。
「お前邪魔!!」
苛立って少し強めに叱る。しかし僕はこいつに完全に舐められてる。ガキがなんか言ってると言う風に辞める気配がない。最初は肉球で攻撃してきたが、次第に爪までたててきたので、姿勢を変え反対方向へ向く。
「なんでそっち向くんだよ!」と言いたいのだろうか。急にニャーと大きめの声で鳴いた。無視したが、こちらへやってきてまた手を攻撃してくる。
「しゃーない。かまってやるよ!クソ猫が。」
と悪態をつき撫でてやる。ゴロロと猫特有の音を出して寝転がった。頭から背中にかけてゆっくり撫でてやると目を細めて気持ち良さそうに背伸びをする。顎を撫でると顔を上に向けて、これまた気持ち良さそうにしている。
数分この時間が続いた。
突然、手に痛みが走った。ひどい痛みではないのだが、唐突だったためびっくりして
「いったぁぁー!」
と大袈裟な声が出てしまった。今良い関係を結んだはずの相手から急に攻撃を受けた。
「もう良いわ!」と思ったのだろう。今も寝転がったままで僕のことを少し睨んでる。僕はどこまで触っていいのかが見極められないために毎回手を噛まれてしまう。
自分から触らせに来ているのに手を噛むのは酷いと思うし、訳がわからない。やっぱこいつはクソ猫だ。
「チャチャーー。どこにいるの?おいでーー」
母がクソ猫を探してる声が聞こえてくる。急に耳をピンとたてて起き上がる。そして僕がそこにいた事実を完全に忘れたみたいに振り向きもせずさっさと部屋を出ていく。
「クソ猫が。」
少し寂しく悪態をつく。これが僕のいつもの日常。このクソ猫と暮らす日常だ。
初登場キャラが俺とクソ猫。