活動の結果
ケント師匠が自分の異世界活動に感動したことがわかると、今までそこに何もなかったかのように、ブルー様が消えた。
「まぼろしみたいに消えますね」
「精霊は元々この世界の同じ空間で人間と共存するようにはできていない、この世界の精霊の空間に戻ることが自然だ、この島は特別なんだよ」
「ここでは共存していますね」
「エルフもここまでなら来られる」
そうか、だからここでしかイーリに会えないんだ。
「精霊の空間は異世界とも繋がりやすくて、ブルー様はケントのためにみえたことを教えに来てくださったようだ」
「親切なんですね」
「ブルー様はここ数年人間にかかわってくださっている、不思議な偶然だな」
イーリにも不思議なことがあるんだね。
ブルー様とイーリにも認められて、ケント師匠の異世界活動は順調だ、毎日異世界に光を送っている。
「この活動はいつまでやればいいんですか?」
「さあ、効果があらわれるまで、かな」
「一年間ですか」
「なんで?」
わたしの進学が決まって、研修生のまま王立学院の魔術科に通うので、ケント師匠との研修が終わるのだ。
「知ってますよね、王立学院に通うことになったんです」
「あれ、断ったんだけど、決まったの?」
ああ、ケント師匠に連絡がきていないのか、無視されたのか。
「そうかー、ミサトにでも来てもらうか」
「もっと無理ですって、忙しくてアレクシス様が文句いってますよ」
「デルネヘルはまだ研修生になれないの?」
「いくつだと思っているんですか、やめてください、やっとお友達と遊ぶようになったのに」
「困ったなあ」
それでもあと数カ月は一緒に活動できるから、それまでに成功するといいな。
その日はめずらしく夜にシャラナが来なかった。
いつも異世界活動の話をおもしろそうにきいてくれていたのに、もう飽きたのかな?なんて思って、いつもより早く眠った。
眠ったのかまだ意識があるのかわからない時に、誰か、たぶん異世界の女の人と目が合った。
大きく目を見開いて、引きつったような顔でわたしをみている、ああそうか、交信できる人が異世界にもいるんだ、こんなに光を送り続けたらわかる人にはわかるんだね。
(ひいいいいい、こっ、これはなんだ!)
「そんなに怖がらないで、交信できる人なんですか?」
(うわあああ、しゃべった)
話すことができるみたい、どうしようかな。
「こんにちは、光魔法がわかりますか?」
彼女は倒れそうにみえるけど、昼のあいさつをしてみた、おはようかな、こんばんは?




