ブルー様の話
「人間も精霊も、目に見えない小さな粒でできている、小さな粒は触れられる物になることもあれば、あることは感じられても触れられない何かになることもある」
「ええ、そうですね」
イーリは返事をするけど、わたしとケント師匠はきっと変な顔をしている。
「魔術の力もそうだろう、力はあっても目に見える物ではない」
そうなるのか、という顔をしたと思う、ケント師匠も。
「ここから送られた光魔法の粒は、その小さな粒たちすべてを包むことができる」
どういうことかな?触れられる物、触れられない物のすべての小さな粒を光で包む?
「だからその世界のここと重なった土地のすべて、小さな粒のすべてが輝いてきているんだ」
「ちょっとよくわからないので、ナディーヤにやってみていいですか?」
わ、なんですか、ブルー様もうなずかないでー。
ケント師匠はいつものように光魔法を発生させて、異世界ではなくわたしに向けて放った。
「いや、なんですか、怖いからやめて!……あれ、だんだん身体が楽になってきている」
ブワッと光魔法が私を包むと、わたしの身体の小さな粒が魔法の光に包まれて、塊がほどけて膨らんだ感じがした。
「どう、どんな感じ?」
「小さな身体の粒が全部魔法の光に包まれて、それがじんわり光魔法で修復されたみたいに落ち着いて、身体から力が出る感じがします」
「魔法の光の粒がナディーヤの身体と心を包んで、目には見えないけれど力を与えている」
ブルー様、さっきよりわかります、体験するって大事。
「身体が楽になって、心地いいです」
うんうん、とブルー様がうなずく。
「ケント、私にも魔法をかけてくれ」
イーリも体験したいのね。
さっきと同じように、イーリに魔法がかかった。
「ほう、光魔法に身体が包まれて、じんわり修復される感じね、こんな風に光魔法の粒が異世界にも影響を与えるのですね」
「今ナディーヤたちの周りにいた触れられない小さな粒も、光魔法の粒に包まれて力を得たことで輝きが増している」
イーリはわかったようだけど、取り残された人がいる。
「光魔法が人にかかると回復することと同じなの?触れられない小さな粒が光魔法の粒に包まれて輝きを増す、ってなに?」
なんでしょう、体験するとわかるんですよ。
「光魔法の力を多く含んだ人の身体と心が回復して、目に見えない光魔法の力を受け続ければ、避難から外へ出るための新しい活動をするだろう、今までにない新しい物や、新しい考えも回復した力から発生しやすい」
「へえ、そうなるのか」
「それだけではない、一部だけれど精霊たちの力、自然が持っている力に異世界の光魔法の力が加わると、特別な力になって新しい何かを発生しやすい、それがすばらしいものになるだろう」
「わあ、すごい」
自分がやっていることに、一番驚いている。




