管理者の話
翌日、この世界で管理者をしている、というユーリ宰相補佐も一緒にイーリの部屋に来た。
管理者って、なんだろう?
「昨日は何をしたんだ?どこかに大きな魔力を飛ばしただろう、ケントとイーリもか?」
わたしが誘ったんですけど。
「父さん違うんだ、シャラナが教えてくれた踊りを踊ってみたら、大きな光魔法が出て」
「ユーリ、それがどこかに影響を与えてしまったのか?」
「ああ、そうだろうね」
ユーリ宰相補佐の説明では、重なった連動する世界がこの世界と同じような仕組みで回転しているのなら、それぞれ管理者がいて星が崩壊しないように監視しているはず、らしい。
「ケントの前世がどんなに悲惨な状況だったとしても、その後もその世界はこの世界と連動して動いているんだ、管理者が回転を見守っているような仕組みがあるはずだ」
「あんなにひどいことになっていたのに?回転していればいいなんて、助けられないならなんで俺はここに来たの?」
「悪い事でも特別な事はその世界が進化するきっかけになることが多い、助けることが進化を遅らせる可能性もある」
「そんな、どうしたらいいんだ、助けてってきこえたのに」
「見守るんだよ、幸い光魔法は大きくても酷い害悪にはなりにくい、緊張して困難に立ち向かう時の安らぎになる可能性が大きい、緩んでしまうかもしれないが、決定的な妨害にはならないだろう」
「そうなんですね、よかった」
「でもそれは自分がこの世界を管理しているからそう感じるだけで、何年も生きているのにこの世界の全ての設定を知っているわけじゃない」
あら、そうなんだ。
「最初の設定がわからないまま途中から参加したゲームのようなものだ、でも推測することはできる、ユキがいた世界はこの世界と繋がったまま動いている、管理者がいるなら、回転を止めないように防御している」
「俺はなんなの?」
「ケントの前世は神の子供で、無邪気に楽しく過ごすことを望まれたようだ、その無邪気さで世界を変える者だったかもしれない」
「じゃあなんでここに来たの?」
「大人になるためかもしれないし、それはケントが自分で学ぶんだよ、光魔法を届けることを予想されていたかもしれないが、大きすぎる力には問題がある」
「小さい力はいいの?」
「管理者が見逃すくらいなら問題はないはずだ、この世界の考えを押し付けてはいけないけど、共通する救いもあるだろう、小さなことを期待されている、と考えることもできる」
なんだろう?
「救いになる小さい光の力ってなに?大きな浄化以外になにか必要かな?」
なぞなぞ?




