エルフに会う
薬草の花畑で回転した後、ケント師匠の家の近くにある塔の中に転移した。
「何かの力が出たんだな?」
「妖精とナディーヤが踊った一瞬だったけどね」
「この子がナディーヤか、私はイーリだ」
銀色の長い髪、耳が長いエルフだ、尖った耳の形がきれいな三角、三角の耳って不思議、銀色の透けるような髪の色。
「おい、耳が聞こえないのか?」
「わ、すみません、聞こえます、ナディーヤです」
ちょっと耳に触りたい。
「ナディーヤ、もう一度回転してくれ、イーリは妖精の研究者なんだ」
「はい」
ええと、シャラナが言ったとおりに、目を閉じて、立ち上がってから、手を伸ばして回転する。
くるっと。
「何も出てこないな」
ん?そうだ、地と風の回転を感じて、再現するんだった、ケント師匠が感じないって言うから忘れてた。
「一緒にやりませんか、目を閉じて、星の回転を感じるんです、そこから起こる風の回転を感じて、ここで再現するように手を広げて回転する」
「ほう、さっきはそんなこと言わなかったぞ」
「ケント師匠がそんなの感じないっていうから」
「何だって?大事なところを省略してたのか」
「ケント、師匠なのか?まあいい、やってみよう」
三人で向かい合って立ち、目を閉じて星の回転と風の回転を感じて、手を伸ばして、くるっと回る。
あれ、わたしだけできない。
「ナディーヤ、回転を感じたのに、なんで回るときは自分の速度で早く回るんだ?」
ああそうだ、自分が星になって回るんだった。
「もう一度やってみよう、かなり大きな力が出るな、浄化とどこかの大きな力とつながる力のようだが」
三人でもう一度、星のように回転した。
すると、一人で回転したときよりも大きな力が三人の間から発生して、この場が浄化されて、大きな神の力?とつながる強い光が縦に伸びていった。なんだろう?
「ああ、この光に妖精が集まるんだな、強い光魔法のようだが規模が大きい、星から遠くの光を呼んでいるようだ」
「別の世界の何かを呼んでいる、遠くに届くように大きく作られた光魔法の装置みたいだ」
「ナディーヤ、ありがとう、これは異世界に呼びかけられる装置かもしれない」
「シャラナが教えてくれたんです」
「じゃあ、シャラナにお礼を言ってくれ」
はい。
「シャラナ、エルフのイーリがお礼を言ってくれって、ありがとう」
家に帰ってから、シャラナに言った。
「ほほう、そうか、エルフとはそんなに耳に触りたくなる者なのだな」
耳の話はそんなにしてないはずなのに、なんでわかったの?




