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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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黒い石の呪い

 (大国①は昔から呪術師を雇って権力争いに使っておったので、皇国から多くの魔術師が来ておりましての)


 大国①の宝物庫で爺やの黒い石が欲しいというと、紛れ込んだ変なものだから持っていけばいい、とあっさりもらえた。

 持って帰って、わたし専用に建てられたルパニアの塔の中で、ナナと一緒に爺やの話をきいている。

 買ってきた本がずらりと並んだ書庫になっていて、爺やは恋愛物語の間にいる。


 (あの王子は大丈夫ですかな?)


 爺やは偵察に来たことがばれて捕まり、処刑されるとき近くにあった石に魔力ごと自分を封じたそうだ。


 怪しい石は敵方の皇国の魔術師によって封じ込められた、と思っていたが、いつの間にか宝物庫の石と一緒にされて、宝箱に入っていたという。


 (今、大国①に闇の魔術師はおらんようじゃ、この石にさわると呪われると言われていたが)


 えっ、さわってからそれを言う?


 (姫様はわしがお守りしておりますから大丈夫。大国①の王子はどうなりましたかな?どんなことになるのかわからんでなあ)


 うーん、そう言われても勝手にちょっと行って会える人じゃないよ、わたしが王族じゃないという疑惑が晴れてないし。


 「会えないから、どうすることもできないよ」


 (それでは仕方ない)

 かわいい本に囲まれている。


 (ところで、今きらりと光ったが、その左手の爪の下に付いてる小さなうろこにみえるものはなんですかな?)

 うろこ?この爪みたいな変なもののことかな?


 「おじいちゃんが、ナディーヤは龍神様と繋がったって言ってたよ」


 (なんですと!大旦那様がそうおっしゃったとは、姫は大変なご加護にめぐまれておるようじゃ)

 そんな怖い声で言わなくても。


 (ここがN国なら大魔法使いがおるはずじゃ、誰かに助けてもらいなされ、大ごとにならんうちに)

 ええっ!怖い、何それ?


 急いでミサトに相談すると、ユーリさんという人に会う約束をしてくれた。


 「ユーリさんは優しいから大丈夫、心配しないで、宰相補佐だけど」


 「ナディーヤ、この国で二番目に偉い人よ」

 ナナ、大丈夫じゃないよー、爪なんてちょっとくらいどうでもいいのにー。

 すぐに会えることになった

 


 だからレイドール様が心配になって、アレクシス様に相談すればいいと思いついたのは、2、3週間過ぎてからだった。


 「なんだって!大変だ」


 わたしも大変だからあんまり気にならなかったけど、レイドール様の身体中に黒い斑点ができて、魔術師がよばれていたようだ。


 (思ったより軽い症状でしたな)


 なんて爺やが言っていたけど、白の塔からデルネヘルの師匠がよばれるまで大騒ぎしていて、一時は不治の病だといわれていたそうだ、点々だけなんだけどね。




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