デルちゃんの姉
ケント師匠には問題があるにしても、デルちゃんはすっかりなついて元気に勉強している。
「ケント師匠とだったらなんでもできるんだよ、兄上も皇国もずっと遠い所のことでも」
この年頃の男の子にはヒーローがいることも大事なのかな?ずっと悲しそうだったけど、明るくなってよく笑う男の子になっている。
「あの子は早く魔法学校に入れて、闇魔法以外はきちんと勉強した方がいいと思うよ、頭がよくてしっかりしてるから心配ないし、自己流で規則を知らないまま魔力量が増えて後で困ったことになったらかわいそうだ」
ケントくんがそんなに言うなんて、よほど心配なことになっているんだろう。
「魔法学校の許可はもうとってあるんだ、通わせてあげて」
そっか、デルちゃんはもう学校に入るのかー、早くて困るな。
デルちゃんが魔法学校に通いはじめたころ、大国①から呼び出された。なんだろう?アレクのことはグレン様が勝手にやったんだから本人よりくわしいはずだし、デルちゃんのことは関係ないだろう。
久しぶりに大国①の王宮に来てみたけど、お妃様にアレクがいじめられていたせいか、大国①の王宮はどこの国より冷たい扱いをされる。アレクが国を出たくなるわけだよ、犯罪者のように囲まれてグレン様の所へ案内された。知ってますよ!わたしもこの国の国民でしたから、案内いらないんですけど。
「あ、やっと来た、ミサト!どうなっているのか説明してくれ」
グレン様は親しい友人のようにしてくれるんだけどね。
グレン様の話はルパニアのことで、なんで?というくらいわけがわからないものだった。
「デルネヘル様を家に迎えた、まではファンジュール家のことですけど、姉上様のことは知りませんでした」
「シュテファンも城にいるより留学したほうがいいだろうから、アレクに全部任せるよ、連れて行ってくれ」
「はあ…」
ルパニアにはデルちゃんよりもっと厄介な、魔法使い一族の母上から生まれた姫様がいた。デルちゃんより捨て置かれていたことを幸いに、実家の力で郊外の古い屋敷でのんびり育っていたという。
その姫様も親切な大国①におくって繋がりができればいいな、と誰かが思って追い出そうとしているようだ。
「同じ年頃の第三王子シュテファン様に使っていただきたい、ってなんだ?まだ学生だが婚約したいということか?それならまだわかる、友好のために献上するとか意味がわからない、雑に扱われたら攻め込むつもりなのか?」
そんな、まさか、大国①にルパニアが攻め込むなんてありえないですよ、わかりました、まとめて家にお迎えしましょう、ファンジュール家が勝手にしたことで大国①は関係ない、それでいいですか?ときくとグレン様はそうしてくれ、と答えた。
大変だ!家は城じゃないから増築しなくちゃ!急がないと王子様や姫様が来てしまう。
三カ月後に、と約束してしまった。




