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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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召喚 

 急いで神殿に戻ると、フェリクスたちがもめている。


「知らん!巫女姫のセレーシアが趣味で勝手に召喚したんだ、邪魔だから全部引き取ってくれ!」

召喚者たちの前で怒りをあらわにするフェリクスを、とりあえずなだめた。


 フェリクスは忙しいから早く帰ってくれ、とまるでわたしたちも迷惑をかけたかのような態度で、一緒にぽかんとしてなりゆきを見守っている三人の召喚された少年、少女たちも驚いている。


 「なによ!せっかく勇者を召喚してあげたっていうのに!」

 セレーシアがそういうと、少年がうれしそうに顔をあげた。


 わたしが元いた世界の地元の高校生かな、制服に見覚えがあるから帰ることができると伝えると、それならしばらく見学したいなんていう。少年はセレーシアを守りたいとかわけのわからないこというし、少女二人もなんだかわくわくしてセレーシアについて行った。


 どうしようかな、早めに家に帰してあげたいんだけど。


 翌日もう一度帰してあげたい、といいに行くと、勇者のような衣装の少年ハヤトと、巫女候補の衣装の少女ミクとチサに断られた。


 「しばらく待とうか」

 ユーリさんがそう言うし、待つしかない。


 「それより、フェリクスはアレクを利用してかなりの勢いで布教しているよ、大国①のグレンダール陛下が寄進を申し出て、復活のアレクシス像を世界中の神殿に設置して注目されているんだ、ミサトがいいなら特に問題ないんだけど」


 グレン様、なんですって?


 「セルキアの神殿でみなかった?氷の上に立つアレク像だけど、グレンダール陛下の意向もあって美術品としてもかなりよくできてるって評判だよ」

 みてません、何それ。


 「グレンダール陛下に寄進させるなんて、フェリクスはうまくやったね」


 そんなこともあって数日後、神殿を訪ねるとハヤト以外の少女たちがやっと家に帰る、といいだした、よかった。ご家族が心配してるからね。


 こっそり二人を連れて来たかったんだけど、無理だった。


 「イーリの家に行くんですって?」

 きかせたくなかったのに、セレーシアがききつけた。


 「私も行くわ」

 来ないで。


 「わかった、ハヤトにはもう関わらないから」

 そんなわけでハヤトは悪影響しかないセレーシアから離された。不満げだったけど、新米騎士として騎士団のレイナード副団長に預けられた、まだ帰らないそうだ。セレーシアの影響がなくなるまでしばらくかかるのかな。




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