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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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サラの様子

 「イーリさんは冷たい人でした」


 サラは誰もがわかっていてもあえて口にしないことを、堂々と宣言した。

 アレクと様子をみに来ている、現実はこんなもんだ。


 「ここにいるうちにしっかり勉強するんだよ、サラは勉強嫌いなのによく私の所へ来る気になったね」


 「あこがれはあこがれているうちがいい、ってことがよくわかりました」


 「でももう帰れないから」

 アレクだけが同情していたが、みんなで笑った、サラ、よかったね。


 先日、騎士団の訓練所に現れたケントくんが、みんなの前でエマに告白して成功した。

 それ以来騎士団の訓練所で告白するとうまくいく、という変なうわさが流れて、クリストファー様の取り巻きの女の子たちの前で告白して成功するカップルが増えていた。

 はずかしさのあまり、うなずいてしまうらしい。


 それはそれでほほえましい、なんて思っていたのに、いつも壁となっていた女の子の一人がクリストファー様に告白して成功した、ときいて城内が大騒ぎになった。


 なぜあの娘が?クリストファー様って誰でもよかったの?早い者勝ち?とうわさがあとをたたない。

 確かめようと、二人が毎日いちゃいちゃしているところをエマと見に行って、すべてが終了した。

 でれでれしているクリストファー様は、もうきりりとしたすてきな人ではなかった、残念、ただのクリストファーになった騎士は幸せそうだった。


 ところで皆さん今はどちらに?誰か教えて。

 

 次にイーリを訪ねたときには、サラはもう勉強なんかしてなくて掃除や食事の仕度をしていた。

 イーリはもうあきらめたらしく、花が飾られていたりかわいい置物があっても無視しているようだった。


 「サラ、大丈夫?帰りたくなった?」


 「いいえまだです、ここに来た意味をきちんとイーリさんにわからせるためには、戦っていかなければならないんです」

と何かをやる気満々だ、ずいぶん元気そうなのでアレクとそっと家に帰った。


 またいつものようにイーリの所へ行くと、ケントくんがいてイーリと二人で固まっていた、どうしたの?


 「ブルー様という妖精王の使いの方がいらっしゃってましたよ、以前エルフの里にいらっしゃったお美しい方です」

とうれしそうにサラが教えてくれた。 


 「ミサト、知り合いなの?」

 ケントくんとイーリがびっくりしているから仕方なく、猫の国で出会ってわたしとヨーカ様が何をしてしまったのかをくわしく説明した、この二人に隠し通せるものでもないから。ちょっとケントくんが考え込んでいる。


 じゃあ休日にまたアレクと一緒に来てほしい、と冷静にいわれたので、その日は素直に帰った。

 



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