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異世界から来た魔術師  作者: ちゃい
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サラ

 二日目の朝サラと二人で部屋にいると、小さな子どもたちが野の花の花束を持ってきてくれた、かわいい、エルフのちびっこたち。そしてその後ろには子どもたちの母親、サラの友人たちがいた。


 「サラ、どうして言ってくれなかったの?舞台に立つなら髪型もメイクももっと派手にしなきゃ、ねえ」


 エルフのさらさらストレートロングの髪はそれだけで美しいけど髪を上げて、色っぽいメイクをして、あっという間にサラが美しい大人の女性になっていった。急にお姉さんと言いたくなる感じ。ってことはこれエマにも使えるんじゃない?教えてもらって帰ろう、ケントくんの驚く顔がみえるようだ。


 わたしもその大人メイクをお願いして、やり方も一から教えてもらった、エルフ流ってあるのかな。


 二日目の夜、舞台は昨日よりお色気が加わって、にぎやかな曲はそれなりに楽しく終わった、よかったと思うよ、お客さんの表情が明るかったから。


 その後、村長さんに意外なことをいわれた。


 「サラもかわいいエルフの娘だが、引っ込み思案で外に出たがらない。みんなで心配しておった。だが人とこんなになじんで舞台に上がれるなんて大した進歩だ。

 あの娘はもう若くはないが生きていく知恵はある。このままここで暮らすより外に出してやりたいと思っていたのだが、ミサト、君がそのきっかけになってくれないだろうか」


 サラを外に出すきっかけ?なんだわたしがお願いしたいくらいですよ。


 「喜んでお受けします」


 ふふふと嫌な笑いをするわたしを、ユーリさんの鋭い目がみつめていた。だから仕方なくこの上司に説明することになった。


 「サラをイーリの恋人に?あのねぇ、ミサト、心はとても繊細なものだから、そんなに都合よく取ってつけたようにはいかないんだよ?」


 「でもサラはイーリが好きでずっとあこがれていたんですよ」


 「そうなの?でもイーリねえ。あこがれと現実は違うだろうけど、サラを外に出すならイーリの所が最適だしなー。困ったことになったらミサトがきちんと世話をやいてあげるんだよ、自分で最後までみてあげられるっていうなら、連れていっていいよ」


 「わかりました、だめならわたしの鈴係ですよ」

 

 そうはいっても、いざとなるとサラはエマと同じで尻込みする。

 こんな所まで似てなくていいのに、もう、エマもサラも一緒だ。


 「村長さんの許可はとってあるし、わたしがちゃんと連れていくから、心配しないでついてくればいいんだよ」


 勢いよく言ったらあっさりうなずいてくれた、強気な人に弱い所までそっくりだ。


 最終日の舞台には、手伝ってくれたお母さんたちとその子どもたちも上がって一緒に歌ってくれた。

 楽しい夜になったと思う、サラにとっても。


 歌い終わって、まだエルフのみんなのさようならー、の声が耳に残っていて、ちょっと興奮しているうちに、あっという間に中央の島の城へ転移した。


 イーリの部屋に着いた、目の前には現実が広がっている。

 深夜の静かなイーリの部屋で、目を見開いて固まっているアレクとイーリが立っていた。


 「ミサトはそんな薄絹で歌っているの?」

とアレクがとがめる。


 「ユーリ、エルフを連れてきてしまった?」

とイーリが文句をいう。


 わたしとユーリさんが言い訳を始めるとがやがやしてきた。


 サラは場違いな感じで立っている。

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