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僕を受け入れてください  作者: 中村アヒル
7/8

アイネ・リタ

昔、彼に聞いた事がある。


「ライラ様は私のことを好きって言ってくれますよね?」


「あー俺はアイネのことが好きだよ。」


「私は大きな過ちを犯したのにどうして私のことが好きなんですか?」


「そんなの理由いるの?」


「いります!!私は何人も人を殺めた...私を好きになる理由なんてどこにもない」


「あるさ。たまに見せる笑顔とか一生懸命人と打ち明けあおうと努力をする所とかいっぱいあるよ。」


「それはライラ様が親身に言ってくれるから・・・」


「それにアイネの好きなとこもう一つある。」


「なんですか?」


「俺のことを信頼して話を聞いて何があっても信じてくれること。」


「そんなの当たり前じゃないですか?誰だってライラ様は英雄だから皆あなたを信じます。」


「でもアイネは例え俺が言ったことが世界の皆が嘘って言ってもアイネは信じてくれるだろう。」


「信じます。」


「そっか、なら良かった。」

彼はまんべんの笑顔で私を見る


「それが君を好きな理由だよ。アイネが信じてくれるから、アイネが俺を理解してくれるから俺は戦える」


「だからアイネ、ずっとそばにいて欲しい」



そんな彼の言葉が嬉しかった。


孤独で毎日誰かに怯える日々だったそんな私を

いつも笑って受け入れてくれた唯一の人

でも私を暗闇から光の方へ導いてくれた彼はもういない



・・・時が過ぎるのがあまりにも早すぎる・・・ライラが死んでもう四年がたってしまった。

リタはすくすく成長し今は絶賛反抗期中だ。


怒る時に目を見開いき頬を染め口を尖らせる仕草はライラそっくりでやっぱり遺伝なのかなと思ってしまう。


もし彼が生きていたのなら大笑いしてリタに便乗して私をからかうのだろう。

三人で暮らしたのは3ヶ月ちょっとだけど、あの時間は凄い幸せだった。


リタは父親がどんな人か知らない。リタが生まれ三ヵ月後には戦場に行ってしまったからだ。

このあいだも「ねーママ。パパはどこ?」と聞くようになった。


私は「パパは遠くいるの」とはぐらかしてしまう。

「いつか帰ってくる?」にたいしては「いつか帰ってくるよ」と嘘をついてしまった。


「本当?」


「うん…リタがいい子にしてたらね。だから早くご飯たべようね。」

なんであんな嘘をついてしまったんだろう。


そんなのわかっている。私がまだあの人の死を受け止められていないからだ。


骸城討伐・種族統一戦争…いつだって彼は私のもとに帰ってきた。


だけど今回は冷たく固まった遺体で戻ってきたが私は彼の遺体を見ることは出来なかった。


遺体はとても見せられる状態じゃなく体中の腐敗と毒の二次感染を防ぐために早急に埋葬された。

私たちが彼と再開したのは彼の真新しい石碑だった。


石碑の前では涙はでなかった。

本当に悲しいと涙は流れないだなと思った。

震えた手でしっかりとリタを抱え、ただただ石碑を見つめる。


・・・ごめんなアイネ。リタを頼む。


きっと彼ならこう言うのだろう。


大丈夫・・・リタは必ず私が守る。

だがら遠くで私たちを見守ってて。



あの誓いから四年たってもライラを忘れた日なんて一度もない


・・・一度もないから彼の死を受け入れられないのだろうか、もしかしたらひょっこりと子供みたいな笑顔で帰っててこないだろうか。


リタにあんなを嘘言ってしまった。

リタにはいずれちゃんと言わないといけない日がきっとくる。

大丈夫きっと理解してくれる・・・だってリタは私の子供なのだから。

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