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僕を受け入れてください  作者: 中村アヒル
3/8

3

冴えない平凡な主人公が異世界に行って無双する…

ライトノベル系ではよくある設定だ。

そんな世界が今、冴えない平凡な僕の目の前に広がっている。


こういったときは、どうしたら良いのだろう。

元漫画家(連載はしてないが)の考えならまずは誰かに話しかけて情報を聞き出すべきだろう。

この異世界は何という世界で僕の他にもこの世界にきた地球人がいないか聞いて仲間を探した方がよさそうだ。

僕は周りを見て声を掛けやすい人を探した。

僕は人見知りだ。24年間ナンパなんかしたことがない。

だから絶対条件は人だ。あきらかに人じゃない奴も歩いているが無視でいいだろう。

僕は心優しい人相の人がいないか慎重に観察した。


しばらくすると違和感に気づいた。

「まさか…いやいや…それはないだろう」おかしな笑いが出た。

路地で若い男女が喋っているのだが、喋っている言葉が分からないからだ。


「……ナハルゾッテ…イーテ」


「ジャオ…パウ…アパイナ…」

ふたりは楽しそうに話している。


全然聞き取れなった。ジャオ? イーテ?何語だよ。

僕は怖くなり焦りだした。ちょうど老夫婦がこっちに向かって来た。

勇気を振り絞り僕は不安ながらも日本語であいさつをした。


「こ……こんにちわ」祈りながら不安で押しつぶられそうになった。


老夫婦たちはお互いを見つめあい戸惑った顔つきで


「サーコイナシサム?」


「タヨモアムーリ……○×▲☆イヨ」

心配そうにこっちを見ている。


まったくわからない……マジかよ…言葉通じねぇーのかよ、普通異世界系って言葉通じるだろう


「ロッジャ$%#&ネユ’)。(&パーチ?」

おばさんが何か訴え掛けてくれるが段々わからない言葉に僕は逃げ出したい気持ちになってきた。


「すみません。言葉がわからないんです。なのですいません失礼します。」

老夫婦に深々とお辞儀をし逃げる様にその場を走り去った。

おじさんが走る去る僕に大きな声で

「リッチ、ハールジャアジャバコール!バユターババフィッエターサ!」

何かの忠告なのだろう「ハールジャアジャバコール」と「ババフィッエターサ」連呼している。



だいぶ街の外れまで来た「ハールジャアジャバコール」と「ババフィッエターサ」この二つの言葉がわからない。でもあれだけ必死で叫んでくれて伝えたかった言葉なんだろう。僕はスマホのメモアプリに二つの言葉を記録した。案の定スマホは圏外だけどメモがわりにはなるだろう。

「いい人達だったな」あんなに心配してくれたのに逃げるんじゃなかった。

でも言葉の壁となれない環境の恐怖で逃げてしまった。

単身で海外行く人はこんな気持ちなのか。

僕は元の世界に戻れるのだろうか。

そんなことを考えながら不安に満ちたままトボトボと行く当てもなく歩きだした。



異世界は夜になった。

ここがどこかわからないが静かな所だ。僕は歩き疲れたので人に見つからないように建物の影に座り込んでいる。

夜空を見上げると星が綺麗だ。流れ星もちらほら見れる。

月も見えるが地球のより大きく見えて少し赤みがかっている。

「流れ星か…」

母さんのことを思い出した。


「シンといつまでも幸せに暮らせますように。あと宝くじが当たりますように。三億。三億。」


「母さん流れ星は三回言わないと叶わないよ」って笑いながら言うと


「いいのよ。こいうのは気持ちの問題なんだから。そうそうあとシンが漫画家になれますように。」

流れ星を見るたびに母さんは願い事をたくさんしていた。


この異世界の流れ星にも願い事は叶うのだろうか。


「元世界…母さんまた会えますように」僕はすがる思いで星に祈った。


時は進み次第に眠たくなり着ていたコートを毛布代わりに寝ることにした。


明日はどうするか。正直不安でいっぱいだ。言葉が通じないこの世界で僕は何すればいいかまったくわからいからだ。英雄になれとか正直無理な話である。

まあいい、今日は寝よう。明日また考えよう。


僕が眠りにつこうとすると。二三人……違う二三匹がこっちに近づいてくる。


はじめに見た魚見たいなゴリラだ。正確には魚人族の見た目でとにかくゴツイ。それも三匹……ヤバイ気づかれた。

三匹の中で一匹だけやたら派手なかっこうの奴が僕に近づき指を指しながら聞いてきた

「シャーシャーヤヤジャ? シャーシャージャーシャアージャヤ」

………何だって?

「シャーシャージャーシャアージャヤ」

「シャーシャージャーシャサーシャジャ?」


………シャーとジャーしか言ってねー

なんだよ種族によって言葉違うのかよ!!

全部統一しとけよ。

どうしよう…めちゃこっち睨みつけてくるんですけど。チンピラかよ。


駄目もとでシャーとジャーで会話してみるか。いや下手に怒らせて攻撃されたら確実に死ぬ。

僕は笑顔でなにかないか必死で考えた。

そうだあの言葉だ!

僕はスマホ取り出し「えーと、ハールジャアジャバコール」と叫んだ。

…おそるおそる魚人族に目をやる。


すると魚人達が体を上下に揺らしながら

「ジャアジャジャッシャージャ」といっせいに叫んだ

ぐいぐいと僕に迫りよりながら

「$%#%’&)(’&(」  「☆◎?¥”#%$」

もうシャーもジャーも聞き取れないメチャクチャお怒りである。

まずい早く逃げなきゃ殺される。

僕は魚人族の攻撃を間一髪避けながら暗闇を逃げる。

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