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布団がふっとんだ

サブタイトルを「紳士め」にするかこれにするかで20分くらい悩みました。

アホですね。


途中からキャロライン視点。

宿屋二泊目。


眠っていた俺にいきなり、(ウィンド)が襲い掛かった。

(ウィンド)は初期魔法で、他の魔法と組み合わせて使用するのが多いわけだけど。


それで布団をふきとばされた俺は慌てて起きた。

まさに、布団がふっとんだ、だ。


・・・・寒い。


「町観光にいきたい」

俺に(ウィンド)を放ち、布団をふっとばした犯人であるマリアベルちゃんが言った。


「んー。じゃ一緒にいく?」

布団をふっとばされたことには触れないでおく。

どうしても親父ギャグみたいにきこえるし、マリアベルちゃんはギャグやジョークが通じないタイプだと思うからな。

「ん」


うっすら笑顔のマリアベルちゃん。あああかわええええ。


「じゃあ昼から行こうかー」「今すぐだ。今すぐ!」

「・・・わかった。今すぐね」

そんなにワクワクしてるのね。


服を着替えたところで気がつく。


・・・2人ってことは、実質、デートじゃね??

やった!!

なんで俺に声をかけてきたのかはわからんけど、ラッキー☆



ってなもんで、今からデートです(俺が勝手に思ってるだけなんだけど)!





















朝起きて食堂にいくと、勇士君がいなかった。


「あれ?勇士君は?」

先に朝食をとっていたコネリにたずねると、こんな返事が。

「ハルスハルトとでかけた」


なんと!


「マリアベルちゃんと勇士君が?」

なんか、モヤモヤする。


「どこら辺に行ったかな?」

「料理店か仕立て屋、それか床屋じゃないですかね」

コネリの横に座っていたリオンが答える。


「どうして?」

「料理店で一緒に朝食をとっているか、仕立て屋で彼女の服を見繕っているか、床屋で彼女の髪を切ってもらっているんじゃないでしょうか?ハルスハルトは服も髪もぼさぼさでしたし」

「なるほど~」


その中で消去法で考えると、


・・・・・・仕立て屋だ!

朝食は多分食堂で食べただろうし床屋なら王都の方が腕がいいってリオンが言ってた。




仕立て屋には案の定、2人がいた。

私ってば名推理!探偵になれるかもしれない。

あ、その時の助手は勿論リオンだよね。


勇士君は楽しそうに、色々な服をマリアベルちゃんに手渡している。

クラシカル風のドレスとか、フリル盛りだくさんの紫のワンピースとか。

・・・どれも黒とか紫とか赤とか、禍々しい気もする。


なんか頭にくる。


私も魔王討伐に忙しくて、最近新しい服買えてないのに。

マリアベルちゃんは一着しかないけど私のもよれよれになってきてるのに。

魔王討伐の時のローブは血がしみこんじゃっててよれよれだし、

自業自得だけど、他のも間違えて燃やしちゃったりして焦げてたりするのに。


魔王を討伐した(ことになってる)英雄の1人なのに(勇者との一騎打ちだったけど)、

そんなぼろぼろなみすぼらしい服や装備だと格好がつかないと思わないの!?


勇士君が楽しそうなのが余計腹立つ。


ムカつくぅぅっ!!








「ただいま」


昼過ぎに、2人が宿屋の宿泊部屋に帰ってきた。


ガイア君は大荷物。

マリアベルちゃんは手ぶらだ。


くそぅ、この紳士め!


マリアベルちゃんは黒のノースリーブのワンピースを着ていた。

リオンがそのことをきくと、マリアベルちゃんは魔族だから、純白とか勇者を連想する色の服は嫌だっていうから黒にしたんだって。



さっそく荷物をとりだしてる。


ああ、イライラする。

なぜか、むしょうにイライラして、もやもやってなる。



「観光、楽しかったんでしょ。よかったねぇー(棒)」

棒読みで言ってやった。皮肉をこめて。


なのに。


「うん」

うんって!ムカつくっ!

笑顔でうんって!!勇士君の笑顔が眩しい!



「あ、そうだ。はい、これ」

「え」


勇士君が私に、クリーム色の上下の服を渡した。


「服、殆どくたびれてただろ?サイズはこれでよかったよな」

「あ・・・・、ありがとう」

「今度、他の服も一緒に見に行こうな」



くそぉぉ・・・。


この、紳士(フェミニスト)め!!





やきもちだってことにきづかないキャロラインです。

最早彼女がヒロインです((

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