伝説のヒヨコ、ゲットだぜ!
タイトルがすごいネタバレですね・・・・
「な、なんでヒヨコがこんなところに・・・」
「し・・・しかもかなりデカイ」
唖然とする俺達。
いやもう本当になんでヒヨコがこんな道端にいるの!?
しかもデカイし、鳴き声うるさいし、デカイし、デカイし!!←
「ぴー?」
いやいや、ぴー?じゃねぇよ!
「ぴっピィィィィィ!!」
ヒヨコは甲高い声をあげる・・・鼓膜が!俺の繊細な鼓膜がぁぁぁ!
でもっていきなり突進してきた。
慌ててそれを避けた・・・が、それがまずかった。
なぜなら、俺達の背後には、馬車があったのだから。
ばきっ
ばりばりばりっ
「・・・・・・・ぇ・・・」
馬車が完全にぶっ壊れやがった。
2倍以上の巨体にタックルかまされたんだ、ひとたまりもない。
「え、ちょ」
ちょ、マジでどうすんだ、これ!?
どうしてくれんだ馬鹿ヒヨコォォォ!!
発狂寸前な俺達に、1人冷静なマリアベルちゃんが、ぽつりと言った。
「チキンクリム・ピグの雛だな、あれ」
「「ち・・・チキンクリム・ぴぐぅぅぅ!?」」
え、何!?ヤバイの?叫んだ2人は顔面蒼白で、キャロラインなんぞぶっ倒れそうだ。
え?なんなの!?ただのデカイヒヨコじゃないの!?
tk馬車壊れちゃったんだけどどうすんだ!?
一体どうやってデルヒ山まで行くんだーっ!?
「驚いてないってことは・・・勇士まさか、しらねぇのかよ?
チキンクリム・ピグってのはな・・・不死鳥、カラドリウスらと並ぶ霊鳥でもあり、グリフォンやバジリスクと並ぶ怪鳥・・・生きる伝説なんだよ」
・・・何それ、やばくね?
バジリスクって、あれだろ?蛇と鶏のキメラみたいなやつだろ?
眼鏡をかけた魔法使いの少年が秘密の部屋で戦ったやつだろ?
泣き虫な女の子をトイレで殺しちゃったり、頭のいい美人なヒロインを石化させちゃったりした、あの怪物だろ?
いやいやいやいや!!
流石に俺っだって勝てないだろ。雛でも怖いわ!
テレビ越しでさえ怖かったんだぞ?アレ。それに並んじゃうの?
しかもフェニックスってあれだよな、某魔法学院の学長が飼ってたやつだよな。
めっちゃかっこいい鳥のことだよな。
・・・・・このヒヨコが、そんなやつらに並ぶ伝説なのか。
「ぴぃぃぃぃぃっ!!」
・・・・ただの、でかくて声のやたら高いヒヨコにしかみえないんだが?
こんなにでかくて声高いヒヨコがただのヒヨコなわけないけどな!
「まずい!雛がいるってことは近くに親がいるってことだ!」
コネリの切羽詰った声。
のんびり岩に腰掛けるマリアベルちゃん。
ぴぃぴぃうるせぇヒヨコ。
何この混沌な状況。
俺は一体どうしろと!?
「ぴぃぴぃぃぃぃ!」
・・・だからどうしろと?
「・・・・食べれるかな?」
期待に満ちた目をむけるなキャロライン。
俺は鶏肉料理は好きだがヒヨコ料理は作れない。
「伝説の鳥の雛を食べようというお前の発想が怖いわ」
同感っす。
「ぴぴぴぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「ええい!!ぴぃぴぃ喚くな、耳障りだ!!」
マリアベルちゃんの体から殺気が・・・ぞくぅぅぅ。
「ヒヨコの分際で私の道を塞ぐなんて言語道断だ!恥を知りなさい!」
ヒヨコにそんなこと言ってもわからないと思うよ?
あ、でも、顔顰めるマリアベルちゃんもいいと思うよ俺・・・・この状況で何考えてんだろ。
「ぴ・・・」
あ、静かになった。
マリアベルちゃんの恐るべし威圧を感じ取ったらしい。
野生の、いや魔物の本能的に魔王には従属しちゃうんだろーね。
「おすわり!」
犬かよ。
・・・マジで座ったし。
「移動手段を壊した責任をとってもらおう、チキンクリム・ピグの幼子よ。
私と勇者とピンクのおさげの女と厳つい男と・・・後、そこにのびてる獣人をデルヒ山まで乗せていけ。これは命令だ」
威厳を感じる。
くぅぅっ痺れるぜ!
チキンクリム・ピグの雛は素直に頷いて、伏せの格好になった。
「本当に乗っても大丈夫なのか?突然暴れだしたりしないだろうな」
「それは大丈夫だろう。チキンクリム・ピグは霊鳥でもある。霊鳥は例外なく賢いのだよ。故に、動物念話を使わなくてもこちらの言葉が理解できる」
動物念話とは、その名前のとおり動物と意思の疎通ができる便利な魔法だ。
残念ながら俺は魔法が苦手なので習得できていない。キャロラインは小動物になら可能らしいが、集中力のいる魔法なので長時間は使用できないそうだ。
「じゃー乗っけてもらうぜ。お!ふわふわだ」
背中はふっわふわのもっふもふ。
馬車なんかより断然乗り心地がいいし手触りが最高だ。
ああ、眠くなりそう。
新しい乗り物(tk騎獣?)が手に入ったし、まぁいいや。
目的地、デルヒ山はもう近い。