魔人と魔物と魔獣の違い
今回はマリアベルがやたらと喋ります。
「マリアベルちゃん、ついたよ」
「ここか?」
「ああ。ここが床屋だ」
「床屋、とは?」
床屋の前で、きょとんとするマリアベルちゃん。
あざと可愛いぜ・・・。
「髪を切ってもらうところだよ」
マリアベルちゃんの髪は黒くて長いけど、先っぽは傷みすぎて茶色になっちゃってるんだよな。
しかも枝毛も多いし、髪に艶がない。せっかくの髪なのに勿体無すぎるっ!!
後もうひとつの理由は、マリアベルちゃんの髪から魔力を感じるんだよなぁ。
おそらく髪に魔力をためてるんじゃなかろうか。
切ることによってちょっとでも魔力が落ちてくれれば万々歳だ。
「しかし勇者よ」
「ん、なんだ?」
ふいに、マリアベルちゃんが俺の手を握った。
流石ロリ、ぷにぷにしてる・・・って!ど、どどどどうしたのマリアベルちゃんっ!?
混乱に陥る俺の手を、自分の頭に持っていくマリアベルちゃん。
何、何!?もしかして俺に撫でて欲しかったりするのか!?それならいくらでも撫でるよ、撫でまくるよ!!tk撫でさせてくださいお願いしますな感じです!!
とか思ってたら、マリアベルちゃんの頭のてっぺん(つむじあたり)にこつ、とした硬めの感触が。
なんだ、これは・・・・?
「切ってもらうと、私が魔族だとバレてしまうぞ」
硬い感触の何か。
それは、
――――――――――――――――――――――角、だった。
「え・・・角???」
「角、だ」
「え、なんで角。tkちっちゃ」
「成長途中だし。母上のもちっちゃかった」
「へ?母上?tk今成長途中って言った??」
え。成長途中なんすか!?
俺、ずっとロリババアだと思ってたんだが・・・!?
「そうだ。私は鬼姫だ」
鬼姫・・・・・・・・鬼!?
「え、もしかしてマリアベルちゃん、鬼人???」
「ああ。私は正真正銘の鬼人だが?」
「てっきり人型の魔物だと思ってました」
そう言ったら思いっきり殴られた。
ひ、ひでぇ・・・しかも怪力・・・・。
「魔物と魔人を一緒にするなんて最低だぞ、勇者よ」
「は、はぁ。すいません」
「そもそも、魔人はお前達と似通った姿をしている。私だって角さえなければ見た目だけなら人間だろう」
「はい、そうっすね」
「魔人は人間や獣人達のように自我がある。思考能力があるのだ」
唐突に始まった、マリアベルちゃんの魔人&魔物講座。
床屋から少し離れたところで俺は正座させられている・・・正座は自主的です気分的に。
「魔物はそういうものが存在しない。あるのは破壊願望や食欲のみ。意思をもたず、本能のままに襲いむさぼる下等生物だ」
「へぇ・・・」
「そのような生き物と、我々魔人を一緒にするな!」
「い、以後気をつけます」
魔王に正座しながら説教(?)される勇者。
中々シュールな光景ではなかろうか。
「魔物は魔人が使役するものだと王宮できいたんだが・・・魔物と魔人をあわせて魔族と」
そう言った瞬間、マリアベルちゃんの目がギラッと光った。
「なんだと!?阿呆!!」
あ、アホって・・・・。
「いいか、よくきけ勇者!魔物とは思考能力のない下等生物であり、何者の言うこともきかぬ。理解する脳がないのだ。我々が使役するのは魔獣であり、魔物ではない!それに人間や獣人も魔獣は使役しているだろう?」
へー。そうなんだ・・・。
tk、こんなに饒舌に喋るマリアベルちゃん初めてみたよ。そんなに魔物と同類にされるのが嫌だったんだな・・・。
「魔物は突如生まれる。悪魔が邪から生まれるようにな。
我々魔人は人間達と同じように子を成すのだ。勿論魔獣もだ。よ・い・な!!」
「はいっ!わかりました!」
初めて聞いたことだったが、興味深いですね。
ファンタジー感があって。
「で、床屋だけど、どうする?」
これこそ本題ですよ。話がかなり脱線したけども。
「・・・手荒い方法でいいのであれば、私に考えがあるが?」
というわけで、マリアベルは鬼人であったことが発覚しました。
ちなみに、
人 属 魔族 科 鬼人
みたいな感じです。
・・・よくわからないですね・・・。