サツキフィーバー炸裂
「ご帰還なされてそうそう申し訳ございませんが、勇者様におあいしたいと言う方がおられるのですがよろしいですか?」
猫耳メイドちゃんにきかれ、何か言う前に、
「こちらです」
と案内された。おーい、俺まだいいよって言ってないんだけどー?
すたすたと歩いていく猫耳メイドちゃんは、鎧の並べられた大理石の廊下を突き進んで、絢爛豪華な扉の前まで俺を連れてきた。
扉の前に、屈強な護衛兵が3人もいる。
全員プロレスラー?それともボディービルダーか?と思うくらいのムキムキボディ。くそ、どうせ俺は胸板薄いわ。
その上重そうな鉄の鎧なんかを着込んでいらっしゃる。よく肩こらないな。尊敬するわ。それにしてもこんなんが3人も警備しているんだ、あいたいって言ってる人って絶対要人じゃんか。
「・・・・あいたいって言ってる人って?」
ごくり。
「王妃様でございます」
マジでか。
「どうぞ」
扉をがちゃっとあけたらそこには、ふっかふかのソファでごろごろする国母がいなさった。
ソファにねそべってる王妃が許可してくれたので、その向かい側のソファに座らせてもらう。
おおう、やらけぇ。
王妃は根元が黒い茶髪に一重の黒い瞳、白くもなく黒くもない肌。
顔立ちもアジア系。
・・・・・・・この人、異世界人なんだよな?
根元が黒い茶髪って、染めてんのがおちかけてきたみたいだな。
「貴方が勇者なのよね?高校生くらいかしら」
高校生・・・。
ひっさしぶりにきく単語なんだけれども。
「私は高橋サツキ・・・・じゃなくてサツキ=ドゥートゥリッシュ。王妃やってます」
「え、高橋って、日本人!?」
「そう!貴方と同じで、召喚されちゃったんだよね」
マジっすか。同郷の方だったんすね、国母様。
「あ、名前なんていうんだっけ」
「飯島勇士です。この世界でいうならユーシ=イイジマ」
「飯島君ね!同じ日本人同士仲良くやろ。私のことはサツキって呼んでくれていいよ」
「王妃様になれなれしくしていいんすかね」「!じゃ、さん付けで」
国母もといサツキさんはフレンドリーな人だった。
それにしても日本人とあうのって久しぶりだ。なんか親近感わくね。
「飯島君が召喚されたのってつい数年前よね。召喚されるまでの日本のこと、教えてくれないかな?」
「いいですよ」
俺はサツキさんに色々話してあげることにした。
総理大臣が変わったこととかどこどこが世界遺産に登録されたとか。今頃はもう新しい総理大臣になってるかもしれないが。
猫耳メイドちゃん(名前はフェリアって言うらしい)が、呼びにくるまで俺達2人は会話に熱中していた。
「ぶっちゃけ私さ、フリードリヒのこと好きってわけでもないんだよねw」
「え」
サツキさん、さらっと爆弾発言。
「・・・・・・そんな唖然としないでよw」
唖然ともしますて。
フリードリヒってあれだよな!?こくおーへーかの名前だよな?
正妃様が国王のこと好きじゃないて。 仮にそうでも、そんな簡単に暴露しちゃ駄目ですって!!
「度々脱走してたんだけど、子供できちゃったから逃げられなくなったわけ」
衝撃のカミングアウトですけど、俺にきかせていいの?
国王&王妃不仲説とかきいちゃ駄目じゃね?
「あ、きーてる?」
「はっキーテマスヨ!」
「だからね、協力して欲しいんだよね☆」
へ?
「何を」
「そりゃもう、地球に変える方法を探すのをよ」
「!」
いいんすかそれ。
そんなこといっちゃっていいんすか?
「それってその、」
「よろしくね?日本人同士、仲良くするんだものね」
有無をいわさぬその笑顔に、俺は黙り込むしかありませんでした。
そうこうしているうちに猫耳メイドちゃん、もとい、フェリアちゃんが入室してきた。
「国王陛下が今からおあいになられると仰っています。お2人方、すぐに国王陛下のもとにいらしてください」
「えぇ~?まだ話したりないわ」
サツキさんは不満そうに口を尖らせた。
・・・子供みたいな人だよね。
「はぁ・・・。国王の命令を無視したら王妃でも処罰されることもあるかもしんないし?行きますかー」
立ち上がるサツキさん。
この世界で初めての同郷の人は、かなり自由人だった。
「勇者、地球人にあう。」というタイトルにしようかなと思ったんですけど、ネタバレすぎてやめました。