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俺=ワタシ!?  作者:
7/7

第六話 会長出陣

「結果報告します」

ゴクリ・・・

教室の空気が途端に張り詰める。

放課後、一般生徒を追い出した後の教室。

席は教卓を中心に、半円を描くように並べられ、すべての席に、人が着いている。

一名の女子生徒を除き、他すべて男子生徒で構成されている

「羽山司を見守る会」

会長・副会長を筆頭に、書記、特殊任務課など、役職が細かく設定されている組織だ。

ちなみに、学校非公認である。

「羽山司と田中は駅で集合時間より少し早く合流。ちなみに、これがその時の写真だ」

美浜が一枚写真を取り出し、皆に見えるよう、教室前方に運び込まれたスクリーンに映し出した。 写真には、駅の前にて司と田中が映っている。

 「こ・・・これが司の私服姿・・・」

会員の一人が言った。

 「羽山司と田中は駅前で待ち合わせ、予定時刻より少々早く出発したらしい」

一同、水を打ったように静まりかえっている。

 「以上だ・・・」


・・・・・


また別の意味で、場の空気が重くなる。

 教卓の隣の席に座っている副会長が、一同を代表して、美浜に尋ねた。

 

 「あ〜、美浜君。 以上・・・とは?」

美浜は、深く息を吸って

 「二人が集合したとき、俺は草むらに隠れていたのだが・・・警官に職務質問を受けてしまってな・・・」


・・・・・


また、気まずい沈黙。

 「美浜・・・お前な・・・」

 副会長が言いかけたとき教卓に座っていた生徒が、手で副会長を制して副会長の言葉をとめさせた。

 「会長・・・」

 会長と呼ばれた生徒は、美浜にこれほどのものが存在するのかというほど、冷たい目で美浜を睨みつけながら言った。

 「会員ナンバー02美浜。つまり貴様は羽山司を護衛することができなかったんだな? 」

美浜はその目線に一瞬、縮こまり

 「はい・・・」

とだけ答えた。


 会長は、副会長に軽く耳打ちした後、会場に響き渡るような澄んだ声で、声高々に宣言した。

 「今日から私が、羽山司の護衛にあたる! 」



「司、学食行こうぜ」

背中越しに声を掛けられ、席に着いたまま振り向くと、田中は既に机の上の教科書類を仕舞っていて、財布を持っていた。

「ちょっと待ってて、俺も片づけるから」

数学の教科書、ノートを慌てながらも丁寧に机の中に入れる。

さあ行こう。

と、なって教室から二人で出ようとした時。

不意に女子生徒が、司の前にやってきた。

第一印象は、とにかくスタイルがいい。すらっと背が高く、モデルでもおかしくないほどである。 ハーフのような顔立ちで、とにかく美人。

その人は、一呼吸置いたあと・・・司に突進するかのように抱きついてきた。

「司ちゃん! あ〜 やっぱり実物は、触り心地がいいなあっ! 何より柔らかいしっ! 」

女子生徒は一見冷たそうな外見とは、裏腹に司を抱きしめつつ頬擦りしている。

「ちょっと、なんなんすか!?」

その女子生徒はおそらく、先輩なのだろうと配慮してなのか 一応丁寧語で、田中は何もできずになすがままの司を代弁した。


「あ〜〜。この極上の肌触り、日本近海の本マグロを彷彿させるわね! 」

「ちょっ・・・離しください! 」

やっと司が言うと、その人は名残惜しそうにパッと体を離した。

「えっと、結局なんなんすか?」

田中が、少しいらいらした様子で女の人に尋ねた。

女子生徒は、こほん。と一つ咳払いをして、胸を張って、宣言するかの如く司達に言い放った。 「私は、羽山司を見守る会 初代会長 綿矢 冴子 。

羽山君を直接、護衛に当たる者だ。」

その目は本気だった。


見守る会って・・・ 俺は多摩川で発見された、珍しい動物の類じゃないぞ・・・

田中は、驚きとあきれの表情を浮かべているし。

これ・・・どうなるよ?

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