第五話 ミッション・イン・でぱーとめんと
前回の更新から、随分時間が経ってしまいました。 代わりと言っては難ですが、普段より長文となっております。
デパート、三階・・・婦人服 の階の、
「ある」店舗の前で 中に入っていかず、店の前で躊躇っている男女がいた。
男は、比較的端正な顔立ちをしているが、見た目、雰囲気で不良っぽい感じである。
一方、女のほうは、陶器のそれように白い肌、目はぱっちりと開き、唇は見事な朱色、まさに美少女という言葉を、現実に体言したような少女であった。
二人とも歳は、十代後半、高校生といったところだろう。 イケメン不良と大人しそうな美少女、まあ一見するとまあまあ、お似合いカップル。というのが客観的な感想。と言った感じろうか。
二人して入ろうとするも躊躇って、それを続けた後、男が美少女の手首をつかんで
「その」店舗にずんずんと、入っていった。
「田中ぁ・・・変じゃないかなあ・・・」
「何がよ?俺はともかく司は女、なんだしな」田中と呼ばれた男が答えた。
「そうだけどさぁ・・・やっぱなんか、緊張しちゃうよね。女の子はいつもこんな感じなのかな? 」司は、商品棚に置いてある
「オススメ」などと書かれている、それをちらちら見ながら言った。
「知るかよ・・・つうか、さっさと買っちまおうぜ」
「で・・・でもどうゆうの買ったらいいのかわからないしっ。それに・・・」
「それに? 」
「サイズとかわからないし・・・」
田中は、少し固まった後、慌てて弁明し赤面した。
「あ・・・あぁ、わりい・・・変なこと言わせちまって」
「一応、姉貴よりは大きいっぽいんだけど・・・」
司は、自分の胸元を見ながら言った。
「あ、あーっ、あー!あー言わんでもいい!」
そんなやりとりをしていると、いつまでも商品を見始めない、二人を見かねてか店員が、さりげなく寄ってきた。
「どのようなものをお探しでしょうか?」
「あ、あのですね・・・」
「彼氏さんの方にはご希望の色などはありますか? 」
突然話を振られたかつ、彼氏と誤解された、田中は一瞬固まった後、すぐに対応した。
「あ、いや希望と言うか、なんとゆうか」
「ウフフ・・・派手な方がいいのか、清純な方がいいのか・・・」
店員は、お節介なおばさんのように、まあ実際お節介なのだが、色々な ブラジャーを二人に見せ始めた。
そう、つまり二人が現在いる店は下着屋 女性下着を扱う店だった。
「あ〜、なんか疲れちゃったねえ・・・」
デパートの上階、俗に言うレストラン街の洋食屋で、司と田中は、昼食をとっていた。
司は、オムライス。田中はハヤシライスを注文し、半分くらい二人とも食べ終わっているときに、司がそんなことを言った。
田中は、ちょっと考えた後すぐに、
「あぁ。あのときのおばさんか」と答えた。
あの後、おばさんは、司のバストのサイズを測ってくれた。
その上で、司は下着を選んだのである。
「あ、そうそう、それでさCだったよ」
司は急に、思い出したように、言った。
「なにがよ?」
「バストのサイズ」
ブハッ、と田中は飲んでいたウーロン茶を吹いた。
「そーゆうことは軽々と言うもんじゃない!」
「あ、ごめんねえ」
田中はやれやれという感じで自ら吹いたウーロン茶の、残骸を拭き始めた。
「つーかさ、俺らってさ」 「俺らって?」
「おばさんも言ってたけど、カップルに見えるのな」
今度は、司が飲んでいた水を吹いた。
「か・・・カ、カ、カ、カ、カップル!?いや 確かにそうかもしれないけどっ!!」
「おいおい、慌てすぎだろ。ま、司みたいな美少女と、俺みたいなやつはつりあわないかも知れないけどな」
その後、適当にぶらぶらして二人は解散した。
「じゃあ、また月曜日な」
「うん。じゃあね」
羽山家前で司と田中は別れを告げた。帰り道、田中の家は司の家とは逆方向だったのだが、田中は
「最近何かと物騒だからな」
という理由で送ってくれたのだ。
帰路についた田中の背中を見ながら、司は少しため息をついた後
「カップルかあ・・・」
と一人呟いた。
だいたい同じ頃・・・
「だから君ね、なんであんなところで、隠れて覗きみたいなことをやってたの」
「作戦については口外することはできない」
「・・・あのねえ」
未だに美浜は警官に、こってり絞られていた。




