第 4 話
甲に立てるか、と聞くと大丈夫だと答えたのでやはり隣のクラスを見てきて
と頼んだ。甲はわかったと言ってすぐに教室を出て、すぐに教室に帰ってきた。蚊の血を吸う部分をひとまず余っているイスで抑え、その上に立つ。
…危険なこと極まりないが、もうこの教室にいること自体が危険なこの状況である。
「どうだった?何があった?」
「多分…死んでるんだろうな、あいつら」
全員が息を飲んだ。
「蚊に血ぃ吸われすぎて、血ぃ足りなくなったんじゃねぇか?」
表情一つ変えずにそんなことを言う甲が怖い、と思った。
甲のことをはじめて、怖いと思った。
「…ごめん、甲。甲が行くって言った時に頷いていたらよかったな」
「そうかもな」
肯定も否定も――どちらかというと肯定だが。
そうかもしれない、そうだったかもしれない。
「でも、死んじまったもんは仕方ねぇ。だから俺は―――」
そこでまた更に向こうのクラスから「痒い、痒い!」と喚く声が聞こえた。
―――――悲鳴も。
「生き残ってるクラスを助けてくるわ」
今度は真も頷いた。
そして蚊がまだ抑えられているのを確認し、クラスみんなの方を向いた。
「誰か、隣の――声がしなくなった方ね。のクラスを見てきてくれる人、いない?」
当然のように手を挙げる奴は誰もいない。
やはりみんな―――もし一人でいって、あっけなく死んでしまったら。
もしも自分が死んでしまったら、というのを考えると怖いのだ。
怖いのはわかるが…それでも誰か、と待ち続けていると、
「私、行ってくる」
叶が手をあげた。クラスがざわついた―――――女子が行って大丈夫なのか、と。叶に失礼すぎるそのざわめきは無視して真は叶に言った。
「蚊が来たら速攻こっちに逃げてきて。まだ生きている人がいたらとりあえずこっちに連れてきて」
「連れてきて、どうするの?」
「まだ多分一階にはこいつら行ってないから何人かで保健室に運ぶ」
「手当できなかったら?」
「そっからは俺の考えるところじゃない」
叶はわかった、と立ち上がりすぐに教室を出て行った。
―――しかし、一人では危険すぎる。
「誰か他に、行ってくれる人は?」
真が再び呼びかけると、女子が何人か立ち上がり隣のクラスへ駆けて行った。―――――男子は甲だけか。
「…なっさけねぇ」
思わず小さな声でそうつぶやいた真だった。




